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2019年1月31日

高齢者住宅に友の会 北海道

文・武田力(編集部)   
写真・五味明憲

 NPO法人が運営する日本初の視聴覚障害者・高齢者用共同住宅「はこだての家 日吉」(北海道函館市/以下、はこだての家)に友の会ができました。

 昨年11月15日、はこだての家の食堂に11人が集いました。民医連道南ブロック「日吉が丘友の会」結成後、初めての健康教室です。
 函館稜北病院(道南勤医協)の後藤若菜・副総看護師長が「冬場の感染対策」をテーマに講演。ウイルスの種類や感染経路などについて説明したあと、必要な参加者には手を添えながら一緒に手洗いの手順を実践しました。
 「ためになりました。これからの季節は特に気をつけないとね」と参加した加藤禎子さんは話します。

住みやすいデザイン

 はこだての家がオープンしたのは2013年。「障害者が年をとっても安心して住める場所がほしい」という要望をもとに09年にNPO法人を立ち上げ、寄付集めや土地探しなどに奔走して建設にこぎつけました。
 現在は36室に38人が入居。視覚、聴覚、肢体が不自由な入居者が約7割を占め、スタッフが24時間常駐して見守ります。
 居室内は、湯沸かし器などほとんどの機器が“おしゃべり”機能付き。スタッフを呼ぶコールボタンがベッド、トイレ、風呂場に付いており、玄関のチャイムを鳴らすと居室内のランプが点滅して来客を知らせるなど、視聴覚障害者や高齢者にとって住みやすいデザインが工夫されています。全館車いす対応で、食事は希望者に3食とも低額で提供されます。
 買い物は週2回、生協の移動販売車が回って来ます。「車の乗り降りを手助けして品物を居室まで運んだり、買い物を代行したりなど、入居者同士でサポートしあう関係が生まれてきました」と話すのは、NPO法人発足時から関わる有田浩子さん。「入居者がその人らしく自由に暮らせるのが一番。管理したり強制したりせず、自然に気にかけあう関係があってみなさん居心地がいいみたい」と笑顔を見せます。

はこだての家 日吉

はこだての家 日吉

地域に仲間を広げたい

 はこだての家の入居者と地域住民が参加して、友の会の結成総会が開かれたのは11月11日。入居者16人とスタッフ7人を含め、30人が友の会員になりました。カラオケや手芸サークル、園芸部のほか、病院や診療所で使う清拭布を作るサークルも立ち上がりました。
 友の会設立を提案した有田さんは、夫の故・幸司さんが道南勤医協の嘱託で労災患者のリハビリを担当していた縁もあり、民医連とは長いつきあいです。自身が経営する「ありた鍼灸」は、ほとんどの職員が視覚障害者。彼らに接してきたことが、はこだての家建設に関わる動機にもなりました。
 有田さんは友の会のメリットについて「行事でバスを借りられるのが何よりありがたいと思った」と話します。「はこだての家の入居者たちと1年に2回、果物狩りに出かけるのが恒例行事になっています。バスのことを糸口に友の会のメリットを入居者と地域住民に伝えました。もちろん、健康教室で道南勤医協のさまざまな職種の職員に来てもらえるのも魅力です」と有田さん。
 友の会の初代会長に選ばれた入居者の白川健人さんは弱視です。パソコンと点字印刷機を駆使して、はこだての家の「会報」編集委員長を務めてきました。
 「役に立つ情報と楽しい活動があれば友の会員も増えるはず。楽しく交流しながら、地域にも仲間を広げていきたい」と前を向きます。

参加者の血圧をチェックする後藤看護師

参加者の血圧をチェックする後藤看護師

いつでも元気 2018.2 No.328

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