声明・見解

2005年2月4日

【声明2005.02.04】乳幼児BCG接種についての全日本民医連の見解

2005年 2月 4日
                          全日本民主医療機関連合会
                           会長  肥田  泰

乳幼児BCG接種についての全日本民医連の見解

 結核予防法の改定によって、2005年4月から乳幼児のBCG接種の方法が変更されることになった。従来 は生後3ヶ月から4歳までの間にツベルクリン検査(ツ反)を行い、陰性者に対してBCG接種が行われていたが、今回の改訂では、「出生後~6ヶ月を原則と し、特別の事情によって1歳まで」とし、全員がツ反なしでBCG接種をすることになった。

 今回の改訂の主な理由は、ツベルクリン検査により一定数の偽陽性者が発生し、その子たちがBCG接種の機会を逃すためとされている。2000年の調査で は、国内全体で3.6%、4万3千人にBCGが接種できず、試算では将来その中から22人の結核患者が発生する可能性が指摘されている。一方、ツ反による 乳児結核患者の発見はごく僅かであるからツ反を無くすことは合理的であり納得できるものである。

 今回の改訂で問題になるのは接種年齢の変更である。従来すべての予防接種は生後3ヶ月から行われてきた。これは先天性免疫不全患者への生ワクチン接種に よる重症感染症を予防するためである。出生直後よりBCG接種を行えば診断前の先天性免疫不全患者に対し重篤な合併症を起こす恐れがあり、この点に関して 日本小児科学会からも危惧する意見が出されている。重症の予防接種副反応を減らすためにBCG接種は3ヶ月以降にすべきである。

 もうひとつの問題は接種年齢を原則生後6ヶ月までと制限したことである。これでは接種可能期間があまりに短く、接種漏れが大量に発生する恐れがある。 2000年の調査では、接種率は6ヶ月までに50%、1歳までに80%であった。乳児健診と組み合わせて工夫している自治体で90%台のところもあるが、 小さい自治体では年に2~4回しか実施していないところもあり、接種期間を短くしたり回数が少なくなると一定数の接種漏れが出る可能性が高い。子ども一人 ひとりを大事にするならば、制度として厳しい条件をつけるのではなく、いかに受けやすくできるかを検討すべきである。

 乳児期の結核は重症化することが多いので早めにBCGをするのは小児科医の共通認識であり、呼びかければ保護者も積極的に接種に応じると思われる。しか し、さまざまな事情で期限内に接種できない事例も発生しているため、その場合でも接種への道を閉ざさないことが大事である。

 また今回の制度改定は2004年10月に詳細が決まり通達が出され、2005年4月実施という性急なもので、対象家族に充分に情報が届かないことが危惧 される。

このような状況を踏まえ私たちは以下の点を要求する。

1. BCG接種は、原則生後3ヶ月から1歳までとするが、これまでの制度期間中に出生した子については4歳までの接種を保障する。
2. 1歳までに接種できなかった場合も、かかりつけ医などの確認があれば救済措置として接種を認める。
3. 個別接種や自治体間の相互乗り入れ制度などを積極的に採用して接種の機会を保障する。

以上

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