民医連新聞

2003年4月21日

安心・安全の医療をもとめて(7)

岡山・水島協同病院

~事故防止の手がかり少しでも早く~
「ヒヤリハット」分析は独自のコンピュータシステムで

 水島協同病院のリスクマネージメント部会は、三月一九日「安全・安心な職場のとりくみ」をテーマにヒヤリハットの一年間のまとめと報告を行いました。同院では、一年前からヒヤリハット報告をコンピューター端末に入力する独自の分析システムを使用しています。

【岡山=森近淑恵通信員発】
 この分析システムは、コンピューターに詳しい同院の検査技師が考案・作成しました。これまでは記入されたヒヤリハット報告書を集め、担当者が表計算ソフ トに入力して集計、という方法で分析していましたが、この新システムでは、職員から出たヒヤリハット報告を、そのまま各職場のリスクマネージャーが入力し ます。
 報告書の書式も手直しし「原因」「内容」「改善方法」など、それぞれの項目や目的に応じた集計が、正確に短時間で可能になりました。集計時間は半減。時間をおかずに各職場に情報が返せる分、安全性を確保するための手だてを早くとることができます。

*  *

 今回の報告会ではシステムの運用状況やヒヤリハットの傾向のまとめ、全リスクマネージャーが各職場からの報告を行いました。
 〇一年一一月から一年五カ月間のヒヤリハット登録は八〇三件。またこれまでヒヤリハット報告がなかった部署も、少しずつ報告・登録するようになりました。
 報告数が多い部署や、集まりの多い「行為・内容」などの項目では、発生頻度や傾向が明らかになってきており、業務改善のための基礎ができつつあります。
 薬剤部では、ヒヤリハット報告書が出ると、朝礼で伝え、ミスの傾向を確認、改善策・業務の見直しは毎月定例で行っています。ヒヤリハットの発生原因の多 くが「確認不足」であり、「忙しい=間違いやすい」でないことがわかりました。
 そこで確認の甘さを改善するために「点検中は電話をとらない/私語をしない/窓口対応をしない」、「散剤を瓶に充填する際は、必ず二人で声を出し行 う」、「散剤、水剤を計量した全量を処方箋に記入」、「処方箋の表示方法の工夫(規格違いがある薬剤は「mg表示」を先頭に、類似した商品名は成分名も追 加など)」の対策をとりました。
 外科系外来は、ヒヤリハット報告が入るたびに朝礼や職場会議で報告、原因の追及や意思統一、対応を考えてきました。そのなかで、一人体制だった救急外来 に応援を入れ、二人体制にするなどの業務改善に着手しています。
 ただ、このように積極的にとりくむ職場がある反面、報告書の入力が遅れる、という部署もあり、全体の足並みがそろっていないのが課題です。今回の発表や意見を生かし、医療の安全、患者の人権を守るとりくみを強めていきたいと考えています。

(民医連新聞 第1306号 2003年4月21日)

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