いつでも元気

2019年4月2日

お金をかけない健康法

“貧困の時代”を生きる健康ライフ

 医師になってはや45年。地域医療の現場で、内科医として多くの患者さんの診療に当たってきました。その経験から病気の予防と早期発見・早期治療の重要性を痛感し、薬物治療以前に生活習慣の是正、食事・運動療法などの指導に力を入れてきました。
 私は現在72歳。この年まで慢性病になっていませんが、実は両親が高血圧・糖尿病・脳血管障害にかかっており、その合併症で人生を閉じました。従って、遺伝的素因を受け継いでいる予備軍かと思われます。
 事実、健康診断の結果にその疑いが時々現れ、それを警告として意識的な努力を繰り返してきました。この連載では、私自身の慢性疾患予防体験と、長い間の診療経験にもとづく健康法をお伝えしていきます。
 高血圧と糖尿病の予備軍である私の健康法は、適度な運動、健康的な食事と禁煙などです。私の1日はまず朝のラジオ体操、そしてウオーキング、さらに野菜中心のバランス良い朝食から始まります。
 適度な運動としてウオーキングが最適なのは「いつでも、どこでも、ひとりでも…」などの自由性があるからで、この自由性が健康法を持続させるポイントだと感じています。
 またサプリメントに頼らないことや健康器具などの宣伝に騙されないことも、無駄なお金をかけない健康法の継続には必要です。
 タイトルに「お金をかけない」とつけた理由は、3年前の医療相談で受けた質問が深く記憶に残っているからです。ある団体の機関紙で、東京在住のHさん(67歳)から「消費税増税とアベノミクスの影響で生活費を切り詰めています。お金をかけず、熱中症にならない工夫などご教示ください」との質問をいただきました。
 この切実な質問が教えてくれたのは、厳しい“貧困の時代”を生きる健康づくりは、誰でも取り組めて続けられる「お金をかけない」ものだということです。よろしくお付き合いください。


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2019.4 No.330

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