医療・看護

2019年4月2日

診察室から 春、今年も若手職員に伝えたい

 子どもの頃から比較的放任主義で育てられ、人に教育や指導をするなどということはもっとも苦手と思っていた自分が、法人内の教育委員長として、制度教育でいくつかの講義を担当することになり10年以上がたつ。一つは新入職員のオリエンテーションで「法人の歴史と到達点」というもの。約60年の歴史を50分という時間で語ることはなかなか難しい。
 もう一つは3年目の職員を対象とした「多職種連携」という講義だ。入職して3年目、中堅としての働きを求められる職員が受講するこの講義の獲得目標は「業務を遂行する上での多職種連携及び、横のつながりの重要性を知る」ということだ。例年、参加職員のレポートには素直な反応が寄せられる。できれば一歩すすんで自己学習し、自分自身の判断力を磨くこと、人の話は鵜呑(うの)みにしないことを身に着けてほしい、などと話している。多職種連携の重要性は言うまでもないし、医師という立場で話すことにも、何かしらの意味があるのだろう。
 自分自身を振り返ると、1年目は足手まといでしかない状態、2年目はまるでマリオネット、3年目にして執刀医としてなんとか多職種との連携を持ちつつ、手術に関する一連の流れができるようになっただろうか。あまりえらそうなことは言えない、と内心思いつつも、ある程度認められた存在としての3年目職員に対する期待は大きい。技術、精神、知識と経験。自分でできることを客観的に見直し、自分なりの目標や理想に向かって、次の段階を見据えられるようになることを期待している。
 石の上にも3年。冷たい石の上に3年も座っていればやがて温かくなる、という意味とか。耐えた2年間の経験が生き、3年目への到達それ自体が評価に値するということを伝えている。彼らがチームの一員としての意識を持ち、活性化がすすみ、組織としてもレベルアップできればと思う。
 早くも新入職員を迎える時期が来る。62年分の歴史をまとめ、講義内容を見直す作業を行う。

(本間修、山形・本間病院)

(民医連新聞 第1689号 2019年4月1日)

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