医療・看護

2019年4月16日

診察室から 情けは人のためならず

 少し前まで外来では、「“みのもんた”さんが、○○が体にいいと言っていた。先生、本当?」という会話が交わされ、「医者より、もんたさんの言うことをよく聞く」、などと言われたものです。放送翌日に「△△が店頭から消えた」という社会現象も。
 それが最近は、もんたさんに代わりNHKの“ガッテン”です。これはよくできています。一つのテーマに約3カ月取材し検証して放送するため、時々ネタ切れで別番組になるのが残念ですが。
 さて、昨年6月6日に放送された番組には、強い印象を受けました。「筋肉&血管を強くする! 世界が証明した最強の寝たきり予防法」というタイトル。一般に、体内に炎症を抱えていると寝たきりになりやすいことは確かです。関節疾患しかり、肺疾患しかり。寝たきりを防ぐためには体内の炎症を抑えることが大切なポイントの一つ。そこで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のスティーブ・コール教授が、健康な被験者数百人を3つのグループにわけ、どのグループがもっとも炎症が抑えられたか調べたというのです。
 第1は「人に親切な行動を1日3回行う」グループ。第2は「世のため、人のためと活動をする」。第3は「そんなことは気にせず、好きかってに生活する」。みなさんは、どのグループが一番炎症を抑えられた(=寝たきり予防になった)と思いますか?
 私は昨年、この話をあちこちの集会でしました。ほとんどの人が「初めて聞く話」の顔。圧倒的に第3グループに違いない、となるのですが、答えはなんと第1グループ。「情けは人のためならず」が科学的に証明された、と私は受けとめました。第2、3グループに差はなかったようです。個人的には、「人に親切にしながら、世のため人のために活動する」を調べてほしかったのですが。
 私たちは、人に親切にして仕事をすればするほど喜んでもらえ、それが自分のためにもなる職業なんだ、とあらためて思いました。

(今村浩、滋賀・坂本民主診療所、滋賀民医連会長)

(民医連新聞 第1690号 2019年4月15日)

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