MIN-IRENトピックス

2019年4月16日

岡山 JB活動アンケートから見えてきた “自主性”では継続しづらい現状

 「ひとりぼっちの青年をつくらない」をモットーに、全国でとりくんでいる民医連の青年ジャンボリー(以下、JB)。一方で、活動を継続していく難しさも実感されています。岡山ではJB実行委員の厳しい指摘を受け、アンケートを実施。その結果から、改善に向けとりくみ始めました。県連青年育成委員会の片山聖さん(水島歯科診療所・事務長)の報告です。

 2017年1月に開いた県連青年育成交流集会で、JB活動の困難が多数訴えられました。その後の青年育成委員会とJB実行委員会との懇談では、ある委員から「自主的活動というならすでに破綻している」と厳しく指摘されました。
 これをきっかけに「どういう状況?」「周りの職員や職場はどう見ている?」「青年育成委員会に何ができる?」と議論。実態把握のためにJB活動アンケートを実施(別項)し、以下の結果を得ました。

■低い認知度と負担感

 JBの目的を「知らない」は、35歳以下で3人に2人、役職者は3人に1人。役職者も半数がJB活動にかかわったことがありません(図1)。その理由1位は、35歳以下、役職者ともに「興味がない」。「わからない」「無回答」も多くありました。
 JBの日常的活動やその意義、目的の認知度は低く、一部の職員のとりくみになっていました。まずは、自主的とはいえがんばっている活動を、職場のみんなが知らない、という現状の認識が必要です。
 実行委員の8割が声かけから活動に参加しており、自ら参加は4・8%。8割が「負担を感じる」、4割が「楽しくない」と回答しました。活動で嫌なことは「財政活動」「参加者が集まらない」でした(図2)。参加したJB活動は7割が「よかった」と評価する一方、今後「活動へ参加したい」職員は2・1%、「実行委員になりたい」は、0・4%でした。
 実行委員は、やる気や自主性だけではどうにもならない財政活動や、周囲の理解不足の中、負担ややらされ意識を感じやすく、自主的な活動として継続しづらい状況が判明しました。

■青年と職場のギャップ

 役職者と実行委員の間で相談が「ない」「あまりない」との回答は約8割。実行委員で、援助機関や担当者を知っていたのは4割でした。
 自主的活動ゆえに役職者や職場の意識は高くありません。職場とJB活動との関係が薄いことが明らかになりました。
 JBが「必要だと思う(まあまあを含む)」は35歳以下が48・2%、役職者71・6%で、大きな差がありました(図3)。
 青年職員の負担感と役職者の期待感のギャップが、JB活動をすすめるうえでの困難を示しています。

■成長の実感や期待は大

 一方、実行委員の半数はJB活動での自己成長を実感しています。「他部署、多職種とかかわりを持てた」「外に出る抵抗がなくなった」「業務で学べないことを知った」「人と話すのが苦手でなくなった」など「楽しもう」「何か得るものを見つけよう」としていることがわかりました。
 役職者の75%はJBに「意味がある」と回答。その半数は成長を実感しています。64・2%は「(一部を含む)勤務保障でよい」と回答。35歳以下での割合を上回りました。
 JB活動は、青年職員同士の交流や仲間づくりだけでなく、成長を図る役割も担い、それを期待されていることがわかりました。


■3つの提案で議論開始

 アンケート結果から、青年育成委員会は、(1)JBの意義と位置づけを論議し、職場内で共通認識をつくろう、(2)援助体制を確立し、とりくみやすい状況をつくろう、(3)JBを「知っている」「かかわったことがある」職員を増やそう、と3つの提案をしました。各法人や事業所、実行委員会で議論が始まっています。
 A法人では、教育委員会で協議し、「今の青年に合わせた工夫が必要。実行委員会に援助担当者も参加させよう」と決定。実行委員は「おかげで助言や後押しがもらえスムーズ。やりやすくなった」と話します。
 B法人はJBを青年職員の教育と位置づけ、委員会の1つとして業務保障。地協や全国JBは研修として法人が参加費用を負担することになりました。新入職員交流企画をJBに任せると、「楽しかった」「モチベーションがあがった」との声があがりました。
 実行委員会では、「JBの意義など、私たちもわからない部分があり自信がない」「職責者といっしょにJBを考える機会がほしい」と討議しました。

* * *

 JBの意義や位置づけ、援助方法の考え方は、JBの成り立ちと歴史、現在のJBと青年職員の状況を、どう捉えるかによってさまざまです。「目の前の青年職員の未来をどうするか」という視点も加え、今後のJB活動を考えることが必要ではないでしょうか。

別項)JB活動アンケートの実施状況

■実施法人
岡山医療生協、倉敷医療生協、岡山中央福祉会、林精神医学研究所、津山医療生協、(株)協同プランニング、(有)メディカルプラン岡山、(株)倉敷健康企画
(参考:岡山県民医連は7病院、その他90事業所、職員総数3442人)
■実施期間:2017年10~11月
■回答状況
  …回答者数/対象者数(回答率)
・35歳以下…519/746(69.5%)
・役職者 …439/549(79.9%)
・JB実行委員経験者(現・旧)
     …146/対象者数不明

(民医連新聞 第1690号 2019年4月15日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ