MIN-IRENトピックス

2019年5月7日

日本で働く外国人 ~SNS相談室から~ (3)家賃ピンはね事件文/榑松 佐一

 前回の怒鳴られていた実習生の事件は4月1日にNHKで放送され、3日には全員が保護。さらに調査が行われています。
 2015年5月1日、北名古屋市のフィリピン人実習生が相談にきました。以前の寮は2DKに9人で家賃は3万円でしたが、会社が新しい寮を建設し4万円に値上げしました。実習生たちは毎月3万円ほどの仕送りをしていましたが、これが大きく減ってしまいます。しかも部屋は二段ベッドの9人部屋です。この事件は直接交渉で9カ月分だけ返済させました。この事件を機に技能実習法では家賃など寮の基準が細かく定められるようになりました。
 一宮市ではひと部屋4万7000円のアパートに5人の実習生を住まわせ、1人2万7000円と3倍の家賃を徴収。アパートは、会社が別名義で経営しており、実習生の部屋だけ家賃を高額にしていました。

■残業代500円

 フィリピン人の事件は解決に1年近くかかりました。その解決を待っていたかのように翌年6月、岐阜のアパレル実習生から立て続けに相談が入りました。驚いたことに4社とも残業代が1時間500円。残業割増どころか残業割引。一宮市の家賃ピンはね事件も縫製業です。家賃のピンはねか、残業代でごまかすか、原因は低く抑えられた縫製工賃にあります。
 この4件の事件が解決すると岐阜・愛知はもとより全国の縫製業で働く実習生からの相談がくるようになりました。愛労連が受けた相談はこの3年間で101件、252人におよび、その半分が縫製業で、ほとんどが残業代500~600円です。
 この問題は国会で取り上げられ2017年3月に全国の縫製業で下請け工賃の調査が行われました。その結果最低賃金引き上げに見合う工賃引き上げはわずか2割、岐阜では1割しかありませんでした。(続く)


くれまつ・さいち 愛知県労働組合総連合議長、1956年生まれ。著書に『外国人実習生「SNS相談室」より―ニッポン最暗黒労働事情』など

(民医連新聞 第1691号 2019年5月6日)

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ