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2019年5月7日

フォーカス 私たちの実践 生活リハビリ 青森・デイサービス中部 利用者ができることを引き出す支援

 青森・デイサービス中部では、利用者の声を聞きながら、楽しみや生きがいにつなげる生活向上にむけた生活リハビリにとりくんでいます。第14回看護介護活動研究交流集会での介護福祉士の角田栄子さんの報告です。

 デイサービスとは、通いながら入浴、排泄、食事介助などの日常生活上の世話や機能訓練を提供するところです。いままで私たちは利用者からお願いされた要求にこたえられるよう、サービスを提供してきました。しかしそれは本当に利用者のためになっているのか、よりよい生活につながっているのか考え、生活リハビリのとりくみを行いました。
 まず、依頼されたことすべてのサービス提供ではなく、利用者が普段できていることを見つけることにしました。現在の動作を確認し、居宅訪問チェックシートを活用、自宅でできている動作と課題を確認し、自宅環境を視野に入れた生活リハビリのメニューを作成しました。不安なことは職場会議で話し合い、職員間の意識改革をはかりました。趣味活動の確認、洗い物、リネン交換、バイタル測定など普段自分でできている動作はデイでも行ってもらうことにしました。さらには早口言葉や難読漢字を読みながらデイ内ウオーキングなど個別機能訓練の充実やスタンプカードの運用でできたことをポイントで貯め、楽しみ、達成感につなげていきました。

■利用者の声で改善

 バイタル測定は職員がすべて行っていましたが、利用者に自己測定してもらうことにしました。体温計の使い方がわからないとの意見には、非接触型体温計から利用者が使い慣れた腋下体温計へ変更。自動血圧計の表示される数字が見えないとの意見には声かけをしながらいっしょに確認しました。健康記録票が書きづらいとの意見には、記入する幅を広げ選択項目を増やし、字を大きくし利用者が記入しやすいようにしました。また身だしなみを整えるために、化粧水、鏡などを配置し意識を高めました。
 その結果、だんだんと積極的に利用者自ら動く様子が見えました。テーブルは職員が拭いていましたが、時間になると利用者がシートを持ってテーブルを拭くようになりました。軽作業準備は、これまで職員に「持ってきてちょうだい」と頼んでいましたが、自分専用の引き出しをつくることで自ら行動するようになりました。
 認知症で徘徊する利用者には、いっしょに歩いたり話を聞いたり、得意だった家事(洗い物や洗濯たたみなど)を行い、笑顔が見られ落ち着くようになりました。また、カラオケルームには操作方法をわかりやすく表示することで、曲目を自分で入力し、時間になると利用者同士で誘い合い自由に楽しんでいます。利用者同士で助けあう場面もあり、意識の変化が見られました。
 利用者の声を聞きながら、利用者が活動しやすい環境整備を行ったことは有効でした。

■笑顔が生まれる

 いままでは職員が手伝いすぎて、「できること」を減らしていました。できることを生かすための支援・役割が大切で、利用者のためになる本当の介護だと思います。デイの中で役割を見つけ、使命感が生まれ、笑顔になりました。
 「できること」を増やし、自分に自信を持ち、デイ以外での家庭や社会において出番づくりを支援することが大切だと気づきました。

■情報を共有

 在宅での過ごし方、現在に至るまでの生活歴、趣味、好きなもの、これからの希望、目的など家族や利用者との会話から情報や気づきを得る必要があります。そこから「できること」「やりたいこと」が生まれます。情報を共有することでその利用者に合った介護を提供できます。意思疎通の難しい人、全くやる気がない人、ADLの制限がある人、家でがんばっているからデイでは楽がしたい、など利用者個々への生活リハビリの提供方法がこれからの課題です。
 楽しみや笑顔が増えたことで、私たち職員にも仕事のやりがいや生きがいが生まれました。利用者のできる目標を引き出し、意欲を支援することが私たちの大切な役割です。

(民医連新聞 第1691号 2019年5月6日)

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