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2019年5月7日

垣間見える“ニーズの萎縮” 「健康で文化的な最低限度の生活」調査の中間報告 洗足こども短期大学専任講師 板倉香子さんに聞く

 全日本民医連は昨年から、全国生活と健康を守る会連合会(全生連)と共同で「健康で文化的な最低限度の生活調査」(健文調査)にとりくんできました。このほどまとまった中間報告の結果について、調査研究委員の1人、板倉香子さん(洗足こども短期大学専任講師)に聞きました。(丸山聡子記者)

 全日本民医連から926ケース、全生連から3416ケースを回収できました。うち、民医連のケースについて報告します。
 全体を見ると、予想していたより経済的に安定し、生活に充足している人が多かった、という印象です。調査は共同組織の人から抽出しており、無料低額診療を利用している人など困窮に直面している人は少なかったと考えられます。
 同時に個別の項目の回答を見ると、調査委員会で議論してきた「ニーズの萎縮」が推測されます。「我慢する、耐える、考えない、あきらめる」ことでニーズが潜在化しています。
 平均年齢は69・5歳で、60歳以上が8割強でした。持ち家率は84・4%。全生連の調査では38・7%。単独(ひとり暮らし)世帯は全体の16・6%ですが、その持ち家率は他と比べ低い(69・5%)という結果でした。

■住まいを失う心配も

 「住む場所がなくなることを心配した経験」が「ある」人は11%。持ち家の人で8・6%なのに対し、民間賃貸住宅に住む人では30%でした(表1)。
 持ち家率の高さに注目しがちですが、平均年齢が70歳近い中で民間賃貸住宅に住む人が6・9%おり、そのうち3割は「住まいを失う心配」を経験している、という結果は重視する必要があります。高齢者が急な立ち退きなどを迫られた場合、たちどころに生活といのちが危機に直面します。

■健康で文化的とは

 経済的困難の経験を聞いた質問では、「ない」が43・3%で、これも予想を上回りました。「我慢が当たり前」で、経済的な困難を自覚していない可能性もあります。複数回答では、「新しい衣類等の購入控え」32・9%、「レジャー費の節約」28・6%などの回答もありました(表2)。
 「あなたが考える『健康で文化的な生活』とは」と自由回答で聞いたところ、豊かな回答が寄せられました。「食べたいものを食べ(中略)趣味もお金の心配がなくできること」(76歳、女性)、「必要な医療が受けられて、何の不安もなく自分の自由な時間を大切にできる生活」(37歳、女性)。医療や平和について書いた人もいました。
 印象的だったのは、社会の情報に触れたり、新しい知識を学ぶこと、人との関係を築くこと、との回答です。気の合う人と趣味を楽しむ、蓄えた知識や喜びを誰かと分かち合う、そこに人間らしい生活を見いだしているのだと感じました。

■これから2次調査

 しかし現実には、経済的に困窮してきたら真っ先に削るのが交際費です。参加費が出せない、人と会うのに恥ずかしくない身なりを整えられない、という声も聞きます。自分たちが描く「健康で文化的な生活」からかけ離れています。
 また、「生活が充実していると感じている」人は「そう思う」「まあそう思う」で5割超。内閣府調査での7割を下回りました。一方で、「充実していると思わない」人の割合も内閣府調査を下回っています。
 5月から秋にかけて2次調査にとりくみます。2次調査を承諾した人たち(民医連、全生連で718ケース)を年齢層や世帯種別、社会参加の有無などで12類型に分け、うち40~50件を調査委員会のメンバーが訪問し、聞き取りをします。
 民医連の職員の皆さんに協力をお願いします。

(民医連新聞 第1691号 2019年5月6日)

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