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2019年5月21日

日本で働く外国人 ~SNS相談室から~ (4)「お尻をさわられた」/榑松 佐一

 青森のベトナム人女性が「社長にお尻をさわられた」と訴えてきたのは2017年8月。十和田市にある縫製工場で、かつて一定のブランド力があった会社です。しかし社長は、気に入った実習生を社長室に呼んでセクハラをくりかえしていました。この実習生は断固拒否。すると彼女だけ残業をさせないようにしました。パートさんがお盆休みで、ほかの実習生は残業しているのに「態度が悪い」と、やらせてもらえません。
 労働局に報告しましたがセクハラの証拠がなく、残業させないのは労基法違反になりません。ところが相談を続けると、残業代は給料とは別にして通帳は会社が持っていました。さらに逃げないようにパスポートも会社が取り上げており、これは完全に不正です。ただちに労基署と入管に申告し、調査が行われました。不正処分を恐れて会社はすぐに謝罪しました。
 しかし謝罪は口だけ。秋にこの実習生が家族の葬儀に帰国したいと有休申請をすると、いきなり文書で解雇通告をしてきました。これも労基署に申告し、監理団体があわてて撤回文書を出させました。結局17年末に不正認定され、年明けには実習生全員が別の会社に移籍。翌年秋に青森労働局が書類送検し、NHKで報道されました。実習生は今年1月に3年間の実習を終えて無事帰国しました。(続く)

技能実習法で罰則
 2017年11月から技能実習法が施行。この法律は実習生保護を目的とし、人権侵害について厳しい罰則が設けられた。
 技能実習生の意思に反して技能実習生の旅券や在留カードを保管した場合
 解雇その他の労働関係上の不利益又は制裁金の徴収その他の財産上の不利益を示して、技能実習が行われる時間以外における他の者との通信若(も)しくは面談又は外出の全部又は一部を禁止する旨を告知した場合
 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金(法第111条第5号)


くれまつ・さいち 愛知県労働組合総連合議長、1956年生まれ。著書に『外国人実習生「SNS相談室」より―ニッポン最暗黒労働事情』など

(民医連新聞 第1692号 2019年5月20日)

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