MIN-IRENトピックス

2019年5月21日

消費税10%ストップ!の声ひろげよう

 消費税に関する全日本民医連の基本的な立場について、経営部の入江敬一事務局次長の寄稿です。

 日本国憲法が求める税制のあり方は、能力に応じて負担する応能負担を基本にしています。逆進性の非常に強い消費税は社会保障財源に最もふさわしくなく、廃止を視野に入れ縮小すべき税制です。

■医療機関における消費税の矛盾

 医療機関が行う社会保険診療は、社会政策として消費税を課さない(非課税)と規定されています。このため、医療機関は医薬品などの仕入れで支払った消費税(控除対象外消費税)を最終消費者となって負担させられている現実があります。これは消費税の重大な欠陥です。
 全日本民医連の医科法人全体に占める控除対象外消費税は、5%から8%へ増税された2014年度、前年より収益比で0・6ポイント、金額で42億円増加し、経営的負担は大変重たいものとなっています。
 厚労省は、消費税(増税)分を診療報酬へ上乗せすることで補填(てん)するとしてきました。しかし、この診療報酬で補填する方法は、一部負担金を含む診療報酬として患者・国民に転嫁される部分があるため、社会保険診療は非課税という規定に反する矛盾のある制度です。しかも消費税を8%に増税してからの補填は9割程度で、医療機関が大変な経営的損害を受けていたと昨年明らかになり、厚労省は厳しい批判にさらされました。
 19年度与党税制改正大綱のとりまとめにあたって、日本医師会をはじめ医療界は医療機関における消費税問題の根本的な解決を求めました。しかし、政府与党は19年10月の消費増税時に診療報酬の配点方法を「精緻化」することによって、医療機関種別の補填のばらつきが是正されることになるとし、根本解決に背を向けました。

■消費税10%増税を中止させる運動を

 第4次安倍内閣は、国難としての少子高齢化を乗り越える最大のチャレンジとして「全世代型社会保障構想」をめざすとしています。しかしこれは、「国の責任による生活・生存の保障」を「国民相互の助け合い」に書き換える社会保障・税一体改革の総仕上げともいえるものです。しかも消費税は社会保障充実のためと言いながら、社会保障は削減され続け、格差と貧困は拡大しています。
 「10月消費税10%ストップ! ネットワーク」の運動が幅広い団体・個人とともに広がっており、私たち民医連もこのネットワークに結集しています。消費税10%引き上げを中止し、控除対象外消費税の解消の声をひろげていきましょう。

(民医連新聞 第1692号 2019年5月20日)

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