いつでも元気

2019年4月30日

お金をかけない健康法

 健康法について調べると、百寿者(100歳以上の方)の生活にお手本が多くあります。その代表として、蟹江ぎんさんと日野原重明先生の経験を紹介します(日野原先生は次回)。関連書籍はたくさんあり、そこにはサプリメントのサの字もなく、健康器具の器の字もない、実に“質素”な健康法=「お金をかけない」ものばかりです。
 「双子姉妹の百寿者きんさん・ぎんさん」の妹ぎんさんは、2001年に満108歳で天寿を全うされました。ぎんさんを在宅で看取られた主治医の室生昇先生と病理医の棚橋千里先生(当時、いずれも愛知民医連・南生協病院医師)が著した『きんさんぎんさんが丈夫で長生きできたワケ』(あけび書房)から、長生きの秘訣をご紹介します。
 主治医のカルテから、ぎんさんの100歳時の1日です。朝8時に起床して2階の仏間へ。自分で階段をのぼり、仏壇に手を合わせて朝食。その後10時頃から、30分~1時間くらい、手押し車を使って近所を散歩。身の回りのことは自分でする「自立した100歳」です。就寝は夜10時頃で、翌朝目覚めるまでトイレに行くことはなかったそうです。
 100歳の時に白内障の手術を受けましたが、目も耳も元気で、NHKの国会中継を見て政府答弁を批判(あっぱれ100歳!)。
 食べ物は好き嫌いなく、奥歯がなくても竹の子を食べ、毎食に刺身、特に白身が大好物でした。海藻類、貝類なども大好き。味付けは薄味で、食物繊維を豊富にとっていました。またお茶が好きで、1日5~10杯も。お米も好きで、残った5本の歯でよ~く噛んだのです。
 主治医によれば、100歳でも書道展に「夢」という作品を出品した積極性が健康長寿の第一の秘訣。バランスのとれた食事、適度な運動、ゆとりのある住環境も大事。「腹8分目」が口癖のぎんさんは「腹8分目に医者いらず」の諺どおり、BMI(肥満指数)20前後で生涯を通したのです。1日30分以上の散歩をずっと続けたのは、ぎんさんの「人間は足から死ぬ」という信念からでした。


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2019.5 No.331

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ