副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2019年7月2日

副作用モニター情報〈520〉 フェブキソスタットの心血管死・全死亡について

 フェブキソスタット(商品名:フェブリク錠)は、尿酸の体内合成を阻害する痛風・高尿酸血症治療薬です。腎機能障害時の減量がアロプリノールのような条件がなく使いやすいとされています。
 フェブキソスタットは、開発中に偽薬と比べ心血管系イベントが高くなる傾向があったため、米国食品医薬品局(FDA)は心血管疾患に対する安全性の検証を求め、「心血管疾患既往のある痛風患者で、高尿酸管理に使用されている尿酸生成を抑制するフェブキソスタットが主要心血管イベントにおいてアロプリノールに対し非劣性であるかを検証する」臨床試験(CARES試験:症例数6190例・武田薬品工業)が実施されました。
 結果、アロプリノールとフェブキソスタットで、心血管系イベント(発症率)には差がありませんでした。一方で、個別の評価項目に設定された、心血管死、および全死亡がフェブキソスタット群で有意に高いという結果でした(心血管死:フェブキソスタット群4.3%、アロプリノール群3.2%、ハザード比1.34、p値0.03。全死亡:フェブキソスタット群7.8%、アロプリノール群6.4%、ハザード比1.22、p値0.04)。
 この結果をどう見るのか、さまざまな意見があります。個別の評価項目(主要評価項目でない)なので、それほど気にする必要はないとの意見もあれば、薬害オンブズパースン会議は「痛風治療剤フェブキソスタットはアロプリノールに比較し、心血管リスクの高い患者で全死亡と心血管死が有意に多い」と注意喚起しています。
 個別の副作用を考えることも大事ですが、このような大規模臨床試験の結果は、慎重に受け止める必要があるでしょう。フェブリクについては、当モニターには乏尿の副作用が1件、PMDAには2018年までに心不全15例、心筋梗塞3例が報告されています。
 これをどのように読み解きますか? いったんフェブリクを中止し、その後2カ月でBNPを測定してみるのも読み解く材料になるでしょう。

(民医連新聞 第1695号 2019年7月1日)

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