民医連新聞

2019年7月2日

相談室日誌 連載467 1世帯に要介護者が2人 生活激変をささえる制度を(岡山)

 Aさんは中学卒業後から働いてきました。56歳の時に脳出血で右片麻痺となり、車椅子生活に。若い頃から、タバコは1日に20本程度と、飲酒は2合程度。稼働年齢でもあったため高血圧の治療を受けず、生活を続けていました。
 介護者であるAさんの妻・Bさんは、30代の頃からお酒を飲んだAさんから家庭内暴力を受けていたため、自宅で介護することに怯えていました。夫のほかに実の両親と同居しており、父はアルツハイマー型認知症、母は高齢で父の介護はできない状態でした。当時、同居していた娘は結婚も控えており、Bさんは誰にも相談することができませんでした。
 Bさんは、夫のAさんと父の介護を背負って心身とも負担が重なり、うつ病を発症。在宅介護は限界となり、Aさんを当施設へ預ける決断をしましたが、義妹からは「まだそんなところで生活する年齢でもなく、兄がかわいそう。妻としての役割を果たしてほしい」と言われてしまいました。Bさんは、「長女の務め」と父の介護を続けていましたが、うつ病が悪化。Aさんに続き父も施設へ預けることになりました。
 Bさんの状態が安定しない生活が続き、Aさんと父の施設利用費や生活費の管理もままならなくなり、お金の管理だけは娘がすることになりました。Aさんは老健施設、父は特養におり、少しでも負担を減らそうと、介護保険負担限度額認定の申請を勧めました。しかし行政からは前年の世帯構成員(娘を含む)の収入では非該当との回答でした。一家の明日からの生活を考えると、不安がありました。まずはBさんの治療とAさんの生活維持、娘が無事に結婚することを最優先に考え、支援を考えました。
 このケースのように、1人の介護者が要介護者2人を抱える中、介護者が体調を崩したり、病気を発症したりして、短期間のうちに治療や介護の費用が必要になる場合があります。こうした世帯へ、もっと柔軟な費用の減額措置があれば、利用者や家族に寄り添い、安心した生活や人権を守れるものと思います。

(民医連新聞 第1695号 2019年7月1日)

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