いつでも元気

2006年3月1日

ベトナムで進む地域リハビリ(下) リハスタッフが来日して研修

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理学療法士の大谷淳さん(右端)から子どものリハビリ訓練の研修を受けるゴアンさん(右から2人目)とニューンさん(その左)。左端は通訳。滋賀県立小児保健医療センターで(写真・豆塚猛)

驚きと発見の連続で

大城春美
京都民医連中央病院理学療法士

 昨年一一月二〇日~一二月二二日、ベトナムのタイニン平和村(小児病院)から二人の女性スタッフがリハビ リの研修のために来日した。私たちがタイニン省でリハビリの支援をはじめて三年。やはり、ベトナムの人自身の手でリハビリが発展することが大事だと痛感 し、スタッフ養成の一助にと計画したものだ。
 しかし京都民医連では、子どものリハビリを専門にやっているところはない。受け入れ先を懸命に探したところ、滋賀県立小児保健医療センターが、三週間の 研修を快く引き受けてくださった。また京都の養護学校や、介護実習センター、障害者のサポートセンターなど、さまざまな施設の方々の協力が得られた。

ベトナム語で迎えられて

 来日したニューンさんとゴアンさんはともに四〇歳と少しで、家族を残しての異国での研修は大変だったと思う。初めての飛行機、日本の激しい交通事情。生活になじめないままの研修突入だった。
 その二人を、小児保健医療センターの子どもたちが、ベトナム語で「こんにちは」と迎えてくれた。職員の方たちの温かい心遣いに、二人の緊張がふわっとほ ぐれたのが感じられた。広い施設で、子どもたちに対し、一人四〇分程度、マンツーマンでおこなわれるリハ訓練の研修は、二人には驚きの連続だったという。
 ベトナムでもかなり奥地のタイニンではスタッフも限られ、リハビリの概念や体系が確立しているとはいえない地域である。だから、子どもの発達段階に応じ た目標をもつ(寝返りがうてる、お座りができる、はいはいができるなど)ことや、歩けないというときも、筋力が弱いのかバランスが悪いのか、要素要素に分 けて評価しそれにみあった訓練をするなどということは、新鮮な発見だったのだ。
 「リハは、こんなにたくさんの専門があって、こんなにたくさんの人が寄ってたかってやるものなのか」と驚いていた。ベトナムではまだ作業療法や言語療法 の学校もないが、帰ったらすぐにもとりくんでいきたい、研修で教わった技術は試してみたい、集まっておこなう老人のデイケアはすぐにやれるかも、など抱負 を語っていた。

どんな障害があっても

 言葉の問題も大きかったが、ベトナムからの留学生二人が、月~金曜、通訳にあたってくれた。土日は節約の ために、私たちが辞書を見ながら身振り手振りで私たちの病院を案内したり観光したり。宿舎も当院の職員が提供してくれたし、多くの方からカンパもいただい た。たくさんの力で、来日研修が実現した。
 二人が、タイニン平和村でリハビリの技術を普及するだけでなく、リハビリテーションの考え=障害があっても地域で支えあって生活していける基盤づくり= の中核になってほしいと思う。どんな障害があっても、支えあいながら生活できるということを一番大切にしてほしい。
 私たちもそのことを中心にすえながら今後も支援を続けていきたい。

讃岐うどんでもてなし

中田耕次
香川・高松平和病院医師

 ニューンさんとゴアンさんの高松滞在は三泊四日。日本の家庭の雰囲気を味わってもらおうと、隠居している私の両親の家に泊まってもらうことにした。不安がる両親を「通訳もいる。同じアジア人だからきっとうまくいくよ」と説得した。
 食事は何がいいかが大問題。香川名物は「讃岐うどん」だが口に合うか。何より普通、もてなしにはうどんは出さないものだ。そこでメインをお寿司と鍋物に し、最後に鍋にうどんを入れることで落ち着いた。讃岐うどんのコシは堅く、弾力的でおいしいとの評価をいただいた。
 高松には珍しい小雪舞い散る寒波に遭遇し、研修は熱く過密なスケジュールだったが、いい思い出になれば幸いである。

■「ベトナム・タイニンの地域リハビリテーションを支援する会」はカンパの協力を求めています。郵便振替で、口座番号は14430-38438311

いつでも元気 2006.3 No.173

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