民医連新聞

2019年8月6日

相談室日誌 連載468 孤独死、自殺、保証人代行会社 広がる「無縁社会」で「縁結び」(茨城)

 「無縁社会」はメディアによる造語ですが、高齢者の孤独死や自殺の増加、また、保証人代行会社の需要の高まりなど、日々の業務を通し「無縁社会」は構造的な問題だと感じています。
 2008年夏、Aさん(60代女性=当時)は、住んでいた廃墟ビルで呼吸苦となり、救急搬送され、急性呼吸不全の診断で入院しました。無保険で所持金はなく、家族も頼れる知人もいません。入院後、生活保護の利用が決定し、社会復帰に向けて支援を開始しました。Aさんは民間アパートへの入居を希望しましたが、保証人代行会社は生活保護利用者に厳しく、審査対象にも値しないと一蹴されました。複数の不動産会社にあたり何とか契約にこぎつけ、退院と同時に新生活が始まりました。
 その後、月1回の外来受診の際、3カ月ごとの面談をくり返し、生活上の不安や問題にその都度対応しました。
 昨夏、肺がんおよび骨転移と診断されたAさんは、延命治療を望まず、可能な限り在宅生活を続ける意志を主治医に伝えました。介護保険利用も訪問看護も拒むため、毎日電話で安否確認し、つながらない時は訪問しました。
 同年秋、痛みが増強して歩行困難となり入院。Aさんの依頼で自宅を片づけ、さらに金銭管理を請け負うと「これで何の心配もなくあの世に行ける」と安堵を口にしました。「喫茶店に行く」というAさんの願いを、担当看護師を中心に実現した日から数週間後、Aさんは旅立ちました。家族との縁を断たれ社会的孤立にあったAさんと、患者とSWという縁で結ばれ、人として尊び寄り添ってきた10年は尊い経験です。
 そして今、高齢単身者、40代、60代の男性単身者の療養を支援しています。患者の年代は違っても、Aさん同様、「身寄りがなく、孤独で貧困」という共通点があります。これから、患者それぞれにふさわしい制度を使い、二度と孤独にしないよう、関係機関、地域社会との縁を結ぶ橋渡し役でありたいと思います。

(民医連新聞 第1697号 2019年8月5日)

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