民医連新聞

2003年6月16日

国会研修の前にみんなで学習会─東京民医連─

 5月21日、東京民医連「第五回青年職員国会行動研修」に、260人の青年職員が参加。今年は国会研修にさきがけ、すでに一部の法人で行われてい た「事前学習会」を拠点法人すべてでとりくみました。医療改悪の実態と、有事法制の危険性をつかみ、いのち、人権をないがしろにする政治に、医療人として 何をすべきかを考えました。研修成功のために院内実行委員会もつくられ先輩職員が主体となって新入職員の学習と参加組織をすすめました。そのうち、城南福 祉医療協会、代々木病院、ほくと医療生協のとりくみを取材しました。

 

 【東京発】国会研修の当日は一四人の実行委員たちが工夫をこらしました。
 青年が在宅酸素患者さんのお宅を訪問して「実態インタビュー」する場面をビデオで示したり、日ごろの医療活動から生まれた要求が実現にいたるまでを寸劇やパワーポイントを使って展開(写真)。ユニークにわかりやすく説明しました。
 議員要請行動では、事前に実行委員会から議員宛に要請内容と日時を知らせておきました。議員控え室で待ってくれた議員や激励メッセージを送ってくれた議員もいて、計五六人の議員から「医療・有事署名の紹介議員になる」と返事がもらえました(六月九日現在)。
 「学習を通し、患者さんたちの顔を思いうかべて議員さんに伝えることができた」「行動すること、学習が重要だとわかった」と、新入職員たちは医療人としての大切な一歩をふみだしました。 
 社保運動の新たな発展につながると実感した国会研修でした。

(勝又喜人、県連事務局)

先輩はていねいに答えた

 城南福祉医療協会では、看護師の井藤三和さんをはじめ、四人の実行委員が準備をすすめてきました。
 五月二〇日、二回目の「事前学習会」を法人会議室で開催。新入職員一七人が参加。
 この日の学習会は、「イラク戦争と有事法制」がテーマ。有事法制のビデオや憲法会議の川村俊夫事務局長がイラク戦争のなかみを中東の歴史を交えて講義。 その後、「イラク戦争や有事法制を自分たちはどう考えるか」をグループごとに話し合い、「わかったこと」「疑問に思ったこと」をまとめて発表しました。
 「有事法制は、国民を守るものではなく、自由や権利を奪うもの…」「有事法制と憲法九条は共存できるのか?」など、理解したことや疑問を出し合うなか で、「平和ってそもそも何だろう?」「戦争はなぜ起こるんだろう?」と、素朴な疑問が飛び出します。
 突如突きつけられた大きな疑問。グループの援助にあたっている青年職員は、しっかり受け止め、ていねいに答えていました。

汐満忍記者

国会へ行く意味わかった

 代々木病院でも院内実行委員会が三人でつくられました。
 五月一七日、同院職員食堂に、今年の新入職員一七人のうち九人が集まりました。迎えたのは実行委員の森亜里さんと杉本里子さん。
 「事前学習会」は、まず事務次長の清田卓生さんが、国民皆保険の歴史、同院がすすめている「透析患者の食事の保険給付を求める署名」などを話しました。 次に『劣化ウラン弾』『有事法制』のビデオで学習。その後二グループで討論。
 事前に宿題が出ていました。「患者さんに、医療費のこと、生活の苦労などを聞き取りしてくる」こと。
 森さんのグループでは「自分もやがて老人になる。健康でいられるだろうか(四九歳・女性)」「国保の負担が重い。生活を切りつめている(六六歳男性)」と率直に話してくれた、と新入看護師が報告。これを口火に、医療、イラク戦争などについての質問や意見交換をしました。
 しめくくりに「国会研修に参加しても良いと思う?」と森さんが言うと、全員うなずきました。
 森さんは五年目の看護師。四年前、職場で「国会研修に行ってください」と言われて、何もわからないまま参加。その経験から「事前によく理解を深めていたら、もっと意味のある研修になったのに」という思いを今回生かしました。
 「業務保障もないのに、新入職員はよく来てくれた。患者への聞き取り調査票が渡されていない部署もあったり、看護師長の机の上に積んであるのを見つけ、自分で配ったことも。忙しくても先輩たちには協力してほしいな」と。
 杉本さん(五年目・事務)は「『有事法』が何か、国会研修の必要性、患者さんの生活も少しわかってもらえたかな。全員が国会に行くことを納得して良かった」とほっとした表情で振り返りました。

小林裕子記者

全員参加!話はつきず…

 「医療と政治のつながりをうまく理解できないと新入職員は、困惑してしまうのでは?」と国会研修への参加に疑問がでたこともあったほくと医療生協では五 月一五日、「事前学習会」にとりくみました。
 新入職員が全員参加できるように職責者に協力を依頼。今年入職した看護師、理学療法士一九人全員と協力者、引率者をあわせて二八人が参加しました。
 四年目の薬局事務、内田友貴さんを中心に、平和サークル・メディカルピースウェーブのメンバーも加わり「事前学習会」の企画、準備、運営までを担いました。
 学習会では、内田さんが国会行動の意義を説明。また「みなさんの医療保険は?」「九七年の医療改悪時の厚生大臣は?」などのクイズコーナーもとって医療改悪について講義。
 北病院看護師、川上野江子さんはソーシャルワーカーから聞きとった在宅酸素の患者さん、年金生活の患者さんの深刻な事例をホワイトボードを使って紹介しました(写真)。
 青池和恵さんは、北病院の看護師。有事法案の危険な中身を実際の私たちの生活に照らし合わせて話しました。工夫した先輩の説明に新入職員も真剣に聞き入っていました。
 また、川上さんは「戦争政策に反対する」民医連綱領の一文を紹介し「昨年の国会では、私たちの運動のひろがりで有事法案の国会採択ができなかった。私た ちが声を上げることは無力ではなく政治を変える力になる」と力説。二一日までに「先輩職員に患者さんの実態を聞くなどして、自分の思いを議員に訴えてほし い」とのべました。
 この後四班に分かれて、グループディスカッション。「国会議員は、負担増で困っている人たちの実状に目を向けてほしい」「戦争に協力しないと犯罪者とい うのはおかしい」などの意見や「要請時に原爆の写真を提示して訴えては?」との提案も。グループディスカッションは時間をオーバーするほど盛り上がりまし た。
 内田さんは、「今回の学習会は、医療改悪、有事法案の二点に絞って学習しましたが、内容が難しかったかな。でもこれを機に民医連職員としての心構えをつくり、医療、平和を考える足がかりになればよいと思います」と、振り返りました。

鐙(あぶみ)史朗記者


群馬 民医連  国政の動き体で

 五月二八日、群馬民医連は第四回新入職員、青年職員の国会要請学習会を五法人二八人の参加で行いました。民医連の社保運動を実際に体で感じてもらいたいと毎年行われています。
 この学習会を前に「有事法制ビデオ」「明日をひらく社会保障」のビデオを見て事前学習にとりくみました。
 当日は、バス一台で国会に到着。参院の議員面会所は満員で参加できず、参院有事法制特別委員会傍聴と国会議員要請の二つに分かれ行動。国会議員要請では、参院有事法制特別委員会の一〇人の委員をまわり、「慎重審議を」と訴えました。
 学習会では、小池晃参院議員(全日本民医連理事)が、医療をはじめとした国会の様子を話し、長瀬文雄全日本民医連事務局長が有事法制にふれ「憲法九条を活用した平和貢献をすべき」と訴えていました。
 参加した職員からは「委員会傍聴で国会の様子を知ることができてよかった」「これからも有事法制について学習したい」などの感想が出されました。
 有事法制の重要な国会審議の中で、国会のまわりでの様ざまな行動を肌で感じることができました。

(菊地公則、県連事務局)

(民医連新聞 第1310号 2003年6月16日)

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