民医連新聞

2019年10月8日

診察室から 時代の「ネクスト」を考える

 多くの医師は、リフレッシュできる時間を持つために何らかの趣味を持っています。私も、平日はビリヤード、週末は山登りに出かけます。今回は、私が長年続けているビリヤードを紹介します。
 医学生の頃、トム・クルーズ主演の映画「ハスラー2」が大流行しました。その影響で、友人に連れられてビリヤード場に通い始めました。当時はどこも薄暗く、一般人が立ち入れない雰囲気が漂っていました。しかし顔なじみになると居心地がよく、スタッフも初心者の私にていねいに教えてくれました。ビリヤードの師匠たちは初めに手本を示し、実際にやらせてみて、できるようになれば見守ります。医療現場では教える立場ですが、ビリヤード場では教えられる立場。「言われたことをできるようになるまでは、時間がかかる」と教えてくれます。まさに患者指導にも当てはまります。
 ビリヤードは、キューという棒で手玉を突いて、的球を次々とポケットに入れていく競技です。実は、球を入れるのはそれほど難しくありません。連続して入れるために、手玉を次の的球をポケットしやすい場所へ運ぶのが難しいのです。これを「ネクスト」といいます。ビリヤードでは、目の前の課題(的球をポケットする)をこなすだけでなく、必ず次を考えなければ勝てないのです。
 これは医師の仕事にも通じます。病気を治療するのに常に一歩先を考えます。この作業をおろそかにすると、急変した時などに対応できません。医師も常に「次の一手」を考えて治療しているのです。ビリヤードの考え方が医師になってからも役立ちました。
 今日も私は診療終了後、ビリヤード場に行きます。ビリヤード場には、会社員、自営業、学校の先生などさまざまな職種の人がいます。彼らとビリヤードをしながら世間話をするのは、とても新鮮です。この幸せな時間が過ごせるのも、平和な世の中だから。時代の「ネクスト」を考えながら、民医連小児科医としてがんばっていきたいです。

(佐藤洋一、和歌山・生協こども診療所)

(民医連新聞 第1701号 2019年10月7日)

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