民医連新聞

2019年10月8日

相談室日誌 連載472 身寄りがないと受け入れ不可 医療機関と施設で対応にズレ(熊本)

 Aさんは、脳梗塞後遺症で半身まひがありながらも、杖歩行で独居生活を送っていました。家族との関係が悪く、地域包括支援センターやケアマネージャー、ヘルパーなどが生活をささえていました。近医への通院は4月から中断、9月に自宅で倒れていたところを救急搬送され、当院へ入院となりました。
 心不全と肺炎、低栄養状態、ADL低下で、治療とリハビリをすすめましたが、元のADLには戻れず、車いすの生活になりました。Aさんも自宅への退院は難しいと判断し、施設への入所を希望したため、施設探しを始めました。タクシーの運転手をしていたため土地勘もあり、Aさんが希望する施設へ相談しました。記憶力や理解力の低下はあるものの、判断能力はあり、厚生年金と預貯金があるため、利用料の支払いは問題なく、当院入院時に保証人になった友人が施設入所の際も保証人になるとの約束を得ていました。
 しかし、希望する施設の全てに断られました。理由は、病院受診など緊急時に付き添える家族がいないことでした。「施設のスタッフが病院に付き添って行くと、病院側から『家族でないと』と言われるので」と、断る施設もありました。
 本人が希望していた施設ではありませんが、当院と連携している民医連外の老健2カ所から「家族がいなくても受け入れ可能」と返事がありました。受け入れる施設があることへの〝ありがたさ〟とともに、家族や身寄りがいない人の施設入所の〝厳しさ〟を知りました。
 昨年、厚労省は医療機関に対し、身寄りがいないという理由だけで受け入れを拒否しないよう通知を出し、今年はガイドラインも出しました。地域の医療機関のMSWへも問い合わせたところ、身寄りがないという理由で受け入れないところはありませんでした。
 しかし施設の側では、身寄りがないと病院受診に困る、という受け止めになっています。
 今後、身寄りがいない人の施設入所が増える中、その対応について、医療機関と施設と相互理解が必要だと思います。

(民医連新聞 第1701号 2019年10月7日)

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ