MIN-IRENトピックス

2020年2月14日

民間交流で平和をつくる 
ピースボート

聞き手・武田 力(編集部)

第1回と第2回の船旅で寄港するレイキャビク(アイスランド)

第1回と第2回の船旅で寄港するレイキャビク(アイスランド)

 地球一周の旅を30年間続けてきた国際交流NGOピースボート。「民間交流で顔の見える関係をつくることが平和の力になる」と、今年も多彩な地球一周プログラムを企画しました。ピースボートの理念と活動について、クルーズディレクターの田村美和子さんにお話を聞きました。

 ピースボートが設立されたのは1983年。きっかけはその前年に起きた歴史教科書問題でした。日本の歴史の“書きかえ”に対して声をあげたアジアの人たちに「直接会って話を聞こう」と、学生たちが船を借りて出かけたのが始まりです。
 90年からは地球一周の旅を開始。体制が違ったり、国と国が対立していても、住んでいる人同士が対立する必要はありません。民間交流で顔と顔が見える関係を築き、世界中に友人をつくる。外国に友人ができれば、それまで無関心だった国のことにも関心が向き、理解しようと努めるものです。
 そのような交流が、例えば戦争が起きそうになったときの“最後のストッパー”になるのではないか。ピースボートが担う民間交流の重要な役割だと思います。これまで102回のクルーズに、のべ8万人が参加しました。

忘れられない体験

 私自身、2006年頃にベネズエラを訪れた際の体験が忘れられません。国民が憲法をとても大事にしていたんです。タクシーの運転手さんが「これ何か知ってる?」と憲法の冊子を見せてくる。医療施設に行くと「(20以上ある)先住民族の言語すべてで対応可能にします」と掲示している。「大変でしょう?」と聞くと、スタッフから「憲法に書いてありますから」という答えが返ってきました。
 当時のベネズエラは米国の傀儡から脱して、貧困の撲滅や少数民族の人権保護などに取り組もうとしていた時期です。自分たちが選んだ大統領のもと、国民の権利を保障するものとして憲法をとらえていた。新鮮な感動でした。もちろん、すべての施策がうまくいっているわけではないでしょうが。

日本を客観視する

 私の場合はベネズエラでしたが、人それぞれに魅力を感じるきっかけは違うと思います。一緒に旅をしていただければ分かりますが、どんな国にもその土地の自然や文化を愛して暮らす人々がいます。日本のメディアから受け取る情報だけでは分からない、本当の姿を知ることができます。
 今、日韓関係が冷え込んでいます。根幹には、過去の植民地支配に対する両国の認識の違いがあります。韓国の人は日本をどう見ているのか、日本政府の態度は世界からどう見られているのか、物理的に外へ出てみることで初めて見えてくることがあるはずです。
 日本政府の地球温暖化対策や女性の地位に関する取り組みなどもそうです。世界の中で日本を客観視すること、さまざまな考え方や価値観に触れて物事を多面的に捉えることは、その後の人生を本質的に豊かにしてくれます。

核兵器廃絶へ向けて

 ピースボートはノーベル平和賞を受賞した「ICAN」(核兵器廃絶国際キャンペーン)の国際運営団体を務めています。
 私たちは広島・長崎の被爆者を船で世界中にお連れして、国連や各国で被爆証言会を開いてきました。参加した被爆者は10年間で170人余り。各国政府や議会関係者、学生などに“生の声”を届けてきました。
 核兵器禁止条約(2017年)が採択された背景には、国際世論の変化があります。世界中の人々に核兵器の非人道性を知らせるうえで一番の力になったのは、被爆者の生の証言です。ピースボートは核兵器廃絶へ向けて、引き続き航海を続けていきます。
 ぜひ私たちと一緒に旅をしましょう!

歴史教科書問題…1982年、日本の文部省(当時)が教科書検定において、昭和前期の日本軍に関する記述を「侵略」から「進出」と書き改めさせたとする報道をきっかけに外交問題に発展


ピースボート世界一周クルーズ

第1回 ピースボートプレミアム地球一周の船旅
ヨーロッパ&カリブ海コース
[2020年4月出航]
第2回 ピースボートプレミアム地球一周の船旅
地中海・中南米・南太平洋コース
[2020年8月出航]
第3回 ピースボートプレミアム地球一周の船旅
東回り航路 アフリカ・南米コース
[2020年12月出航]

民医連の共同組織に割引あり!

※割引の詳細は担当(野平)までお申し付けください

詳しいパンフレットは株式会社ジャパングレイス
0120-95-3740
[午前9時~午後6時/年中無休]
http://www.pbcruise.jp/index.html

ピースボートのホームページ
https://peaceboat.org/home.htm

いつでも元気 2020.2 No.340

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