いつでも元気

2020年4月30日

新型コロナ対策

小松真成(鹿児島生協病院医師)

 新型コロナウイルスが猛威をふるっています。
 鹿児島生協病院総合内科医師で感染症に詳しい小松真成さんが、新型コロナの特徴と予防法について解説します。

新型コロナとは

 昨年12月、中国の武漢を中心に肺炎を起こす新しいウイルスが発生しました。このウイルスはかぜの原因のひとつであるコロナウイルス(CoV)の1種で、2002年に同じく中国で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と似ていることから、SARS-CoV-2と命名されました。このウイルスによる病気を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と呼びます。
 まず押さえておきたいのは、新型コロナは未知のウイルスではなく、かぜの原因であるウイルスが少し形を変えただけ。これまでの知識と経験を活かせば十分に対応できます。免疫を落とさないような生活をいつも通り続け、手洗いなどを徹底することで一定程度防ぐことができます。また、感染しても多くの方は軽い症状で治ります。
 潜伏期(感染してから発症するまでの期間)は約4日(最長14日)で、主に咳や息苦しさといった呼吸器の症状がみられます。だるさ、筋肉痛、軟便を訴える方もいます。遅れて発熱したり、最初のうちは微熱で目立たないこともあり、かぜと見分けがつきません。約8割は軽症で、1週間程度で自然に良くなります。かぜよりも症状はやや長引く印象です。潜伏期が長く初期症状は軽いため、早く発見できずに感染が広がりやすいようです。
 残りの約2割は、発症から約1週間たって悪化し肺炎になります。このウイルスは肺炎を起こしやすいのが特徴です。症状が4日以上続いたり、咳や息苦しさが強まる場合は、受診前にあらかじめ経過を伝え指示を仰ぎましょう。特に高齢者や持病がある方は肺炎を起こすリスクが高いため、早めの相談をお勧めします。かかりつけ医がある方はまずそちらへ相談しましょう。
 ウイルスの感染力は、インフルエンザより少し高いようです。新しいウイルスなので抗体を持っておらず、うつりやすい点は注意が必要です。症状が似ているインフルエンザと見分ける必要がありますが、正直難しいです。イメージする上で役立つかもしれないので、両者を表1で比較しました。
 検査は万能ではなく、医師の総合的な判断が上回ります。効果が証明された特効薬は今のところなく、症状に応じた対症療法が主体です。なお悪化すると集中治療が必要な場合があり、亡くなる方は約1%です。感染対策を徹底し、リスクが高い人を社会全体で守らなければなりません。

感染経路と対策

 感染の主な経路は飛沫感染(咳やクシャミで出た細かいしぶきを吸い込む)と、接触感染(汚れた手を鼻や口につける)の2つです。2つの経路をブロックするとウイルスはうつりません。そのために咳エチケット(咳が出る方はマスクをつけたり、肘などで口を押さえて周りに飛び散るのを防ぐ)と手洗いがそれぞれ必須です。
 マスクは大切ですが、扱い方によっては害となる場合があります。マスクの表面はウイルスで汚れている可能性もあり、触ると手が汚れます。マスクを外す時は耳にかけるヒモだけをつまみます。うっかり触れた場合はすぐに手を洗いましょう。
 またマスクをつけると、顔に意識が向いてついつい顔を触ったり、なぜか気が緩んで手洗いがおろそかになる人もいます。症状がない方がマスクを着用しても予防効果は低く、逆に接触感染を引き起こすリスクがあります。
 接触感染を防ぐためには、手洗いこそが基本かつ最大の予防策。こまめにアルコールで消毒し、目に見える汚れがついた場合は石鹸と流水で洗い流しましょう。すぐに使えるようアルコール消毒剤を携帯するのもいいですね。玄関にアルコール消毒剤を置いて帰宅時にその場で手にプッシュすると、自宅へ持ち込むリスクを減らせます。
 小規模な患者の集団(クラスター)が生じることで、感染は拡大します。「ひと、とき、ばしょ」の3つの要素が重要です。風通しが悪く、人が密に集まり、不特定多数の人が接触する場所は要注意。新たなクラスターを出さないために、こうした空間に集団で長い時間を過ごすことは避けましょう。
 ウイルスの経路を断つだけでなく、私たちのからだ(免疫)を整えておくことも重要です。しっかり寝て、食べて、運動し、生活を整えましょう。感染症に備える10カ条を表2にまとめました。

私たちのこれから

 今の時代は人の往来が激しく、新型コロナのような新しい感染症はあっという間に流行します。またインターネットで飛び交う一部の情報で、私たちは容易にパニックや偏見に陥ります。ネットやテレビの情報は信頼できるものは少なく、早くて広がりやすい情報が正確であるとは限りません。WHO公式情報特設ページなど、信頼できる情報源をもとにヘルスリテラシー(健康に関する情報を適切に理解し取り組む力)を高め、正しくおそれ、的確に備えることが肝要です。
 一昔前までは「ちょっと具合が悪いだけで休むとはけしからん」というような風潮がありました。これからは具合が悪い方は早めにしっかり休む、そして職場や社会が休息を認め合うことが必要です。
 以上を実践することで、新型コロナだけでなく多くの感染症を防ぐことができます。さらに周りの方々、その地域、そして社会全体の健康につながります。マスクを外し笑い合えるその日まで、一緒に頑張りましょう。この社会が少しでも成熟し、これからの困難に立ち向かう糧となりますように。


*筆者から* 
本稿は3月9日現在の情報をもとに執筆しています。数時間ごとに新しい情報が入るため、内容は変わる場合があります。最新の信頼できる情報源にあたることをお勧めします。

WHO公式情報特設ページ
https://extranet.who.int/kobe_centre/ja/news/COVID19_specialpage

いつでも元気 2020.5 No.343

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