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2020年6月16日

全国の経験と英知を結集し職員の健康を守る仕組みを 新型コロナウイルス感染症に関する職員へのヘルスケア指針

 全日本民医連職員健康管理委員会は5月25日、「新型コロナウイルス感染症に関する職員へのヘルスケア指針(以下、「指針」)」と「職員のみなさんのセルフケアのための10のヒント(以下、「10のヒント」)」を出しました。作成した43期の委員のひとり、九州社会医学研究所所長の田村昭彦さんに聞きました。(丸山いぶき記者)

 民医連のすべての法人・事業所が、新型コロナウイルス感染症への対応に迫られています。そんな中、どう職員を守るのか。職員へのヘルスケアの具体化をめざして管理者向けに発信したのが、今回の指針です。10のヒントでは、職員ひとりひとりのセルフケアについて、わかりやすくまとめました。2つセットで、ぜひ活用してください(下参照)。
 4月7日の緊急事態宣言に前後して、各地の民医連では新型コロナウイルス感染症に関連した、職員の健康管理を強化するとりくみが始まっていました。指針はそれらをベースにしています。
 民医連は大地震や豪雨災害などの自然災害時に支援活動を行ってきました。その経験も生かされています。東日本大震災では支援者が使命感から休みなくがんばり、健康を損なう事態も危惧されました。職員の健康が守られなければ、事業も支援も継続できません。大規模災害時に職員の健康を守ることは、熊本地震や豪雨災害の支援活動を通じ、民医連の組織文化として定着してきました。

■かつてない困難

 一方、今回のコロナ禍はこれまでの自然災害とは質の違う、新しいタイプの災害でもあります。これまでは、地協や全国から「ヒト・モノ・カネ」を集中して送り、被災地を支援してきました。一過性の災害に対して、急性期、亜急性期、慢性期と、先を見通すこともできました。職員が集い密な関係を築きながら、団結もしてきました。
 しかし今回は、全国どこでクラスターが発生するかわからず、移動すらできません。未知のウイルスに対して、常に不安を抱えたまま対応を迫られています。職員同士の密な関係づくりも困難です。常にマスクをつけているため、表情や声から仲間の変化をキャッチしづらく、職員が孤立しやすい状況にあります。職員を守る、これまでにない対応と、組織的な仕組みづくりが求められています。

■「職員を守る」を第一に

 指針ではまず「すべての事業所」で求められるもの、を示しました。全国が「当事者」だからです。法人管理部は、第一に「職員を守り抜く」姿勢を示すことが重要です。熊本地震の際、熊本民医連はいち早くその姿勢を示し、後に職員から「安心、励みにつながった」との声も聞かれました。
 すべての職員へ10のヒントの活用を呼びかけるとともに、トップ幹部・管理者のセルフケアの重要性も強調しています。健全な職場運営と事業継続には、トップをささえる仕組み、産業保健スタッフによるケアが重要です。
 専門家だけでなく、同僚間のピア・サポートも奨励しています。ピア・サポートとは、ともに困難な状況を抱え、不安や孤立する恐れを共有するピア(仲間)として、相手を尊重し、互いの力を信じ、語り合い、気遣い合うことです。困難な時は、自分だけが大変と思いがちです。信頼し合える仲間が、状況を変える力になります。
 指針ではステージ1から未知のステージXまで想定し、各段階の対応も示しています。その中で、合理的配慮が必要な職員の類型も示しました。それぞれの段階にかかわらず、新型コロナウイルス感染症患者に対応した当該職員、職場だけでなく、全職員へのヘルスケアが必要です。全職員への、一定水準の知識と情報の共有化が重要です。

* * *

 緊急事態宣言は解除されましたが、気を緩めることはできません。今こそ「職員を守る」視点とその仕組みを整え、秋以降の本格的な第二波に備えましょう。
 不幸にも全国、全世界が当事者です。しかし、だからこそ、被災者、支援者の隔たりなく、成功も失敗も、多面的な経験を蓄積し、生かすことができます。全国の医療・介護現場の経験と英知を結集できる民医連は、あらためてすごい組織だと感じます。「職員を守る職場」をどうつくっていくか、今回の指針をとっかかりにして、全国の経験でより豊かに、仕組みをつくりあげましょう。


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する職員のヘルスケア指針(目次)

はじめに~各法人・事業所でヘルスケアの具体化を~
「すべての事業所」で求められるもの
【1.法人・事業所管理部の役割の明確化】
【2.4つのストレスケアの実践】
Stage1 COVID-19 受け入れ当該職場等への対応
Stage2 「院内感染により職員に陽性感染者が発生」
Stage3 「職員から家族・友人・知人への感染」
Stage4 「職員から死者が発生」
StageX 感染爆発による「いのちの選択が迫られた時」

(民医連新聞 第1716号 2020年6月15日)

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