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2020年6月16日

介護事業所に財政支援強化求める緊急要望書

 全日本民医連は、安倍首相あてに介護事業所に対する財政支援などの強化を求める緊急要望書を提出しました(概要)。

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 5月25日、全国で緊急事態宣言が解除されました。しかし介護現場では依然として厳しい状況が続き、職員は「感染しないか」「感染させてしまわないか」「感染者が出ると事業を継続できなくなるのではないか」という極度の不安と緊張を強いられています。
 事業所では3月以降利用者が減り、事業を継続させていく上で深刻な困難が生じています。長期化すれば、「介護崩壊」という極めて深刻な事態につながりかねません。
 利用の手控え、事業の縮小・休業などで介護サービスが途絶えることにより、病状・状態の悪化、うつ症状や認知症の悪化など、利用者に大きな影響が生じています。訪問介護では、ヘルパーの体制が厳しく、新たな「介護弱者」「介護難民」が生じています。
 介護現場が抱えている現状の困難を早急に打開するとともに、今後の「第二波」「長期化」に備えた対応が求められています。利用者の生活を懸命にささえている介護事業所、介護従事者を後押しする、財政支援の強化を強く求めます。

〈要請事項〉

  1. 介護事業所、介護従事者が適切な感染予防・防護策を講じられるよう、政府の責任で、衛生・防護用品の安定的な確保、供給をはかること
  2. PCR検査の体制を抜本的に強化し、検査が必要な利用者、介護従事者が検査を受けられるよう環境を整えること
  3. 介護事業所に対する支援として、
    (1)すべての介護事業所を対象に、減収分に対する補填を行うこと。当面の緊急措置として、過去の給付実績にもとづく介護報酬の概算払いを急ぎ実施に移すこと
    (2) 感染対策に伴う新たな支出分に対する補填・助成を行うこと
    (3) 介護報酬・諸基準について、状況に応じた柔軟な解釈、弾力的な運用をはかること
    (4) 福祉医療機構などが実施している無担保・無利子の融資制度について、さらなる条件緩和、手続きの簡素化、決定の迅速化など、実効性のある方策を講じること
  4. 感染のリスクを負い、不安と緊張の中で介護にあたっている介護従事者に特別の手当などの給付、助成を行うこと
  5. 必要な介護サービスを切らさずに提供できるよう、訪問介護員をはじめとする介護従事者を確保するための臨時の手立てを講じること
  6. 介護事業所で感染者が発生した場合の対応・支援として、
    (1) 感染者が速やかに入院できるよう医療体制を強化すること
    (2) 必要な衛生・防護用品を優先的に供給すること。発症者や濃厚接触者の隔離施設の整備、備品の確保などにかかわる費用を助成すること
    (3) 感染者や濃厚接触者に対する支援の内容・方法など、具体的なガイドラインを明示すること
    (4) 医療専門チームや支援職員の派遣、行政の支援体制の確保など、当該介護事業所に対するバックアップ体制を確立するよう対策を講じること
  7. 入所費用をはじめとする利用者負担の軽減をはかること。来年8月に予定されている補足給付の見直しの実施時期を延期すること

(民医連新聞 第1716号 2020年6月15日)

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