いつでも元気

2006年9月1日

戦争と核兵器のない平和で公正な世界を 97カ国から5000人の市民が参加/世界平和フォーラム

  「戦争をやめ、平和・公正・持続可能な社会をつくろう」と、六月二三~二八日、カナダのバンクーバーで、初の世界平和フォーラム(WPF)が開かれ、九七 カ国から五〇〇〇人が参加。全日本民医連からは、事務局次長の大河原貞人さん、石川・城北病院の清水祐介さん(24=看護師)、京都協立病院の村上純一さ ん(28=医師)が参加しました。

自治体は平和の推進役。戦争に使うお金はない

大河原貞人
全日本民医連事務局次長

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6月24日、バンクーバー市内をピースウォーク。左から大河原さん、村上さん=写真提供・日本原水協

 私たちは、日本原水協代表団(一四六人)の一員として参加しました。世界平和フォーラムは、カナダのNGO(非政府組織)も参加している世界フォーラム協会とバンクーバー市平和正義委員会が主催し、〇三年から準備されたものです。

 開会式では、昨年、原水禁世界大会に参加したエレン・ウッズワースさん(バンクーバー元市議会議員)が基 調講演。「世界の資源は限られており、戦争にお金を使っている場合ではない。過去の戦争に学び、新しい持続可能な社会をつくろう。ノーモア・ヒロシマ、 ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ホロコースト(大虐殺)」と情熱を込めて訴えました。

 会期中、メイン会場のブリティッシュ・コロンビア大学を中心に、三五〇のイベントがおこなわれました。

二〇二〇年までに核兵器廃絶を

 その一つ「平和メッセンジャー都市国際協会・平和市長会議」の開会総会では、バンクーバー市のサリバン市 長が「バンクーバーは平和メッセンジャー都市として市民の多くが平和運動を担ってきた。平和市長会議には全世界で一三〇〇都市が加盟、二〇二〇年までに核 兵器廃絶を、と訴えている」と挨拶しました。

 長崎の被爆者である大野玲子さんは、一〇歳で体験した原爆の地獄絵、自らの病気と苦しみなどを語り「原爆の被害は六一年たったいまもなお被爆者を苦しめている。核兵器の存在は決して許せない」と訴え。参加者全員のスタンディングオベーションとなりました。

 米国有数の核兵器研究施設を抱えるカルフォルニア州プレザントン市長のジェニファーさんは「核兵器開発にかけるお金は、医療や教育などに使うべきだ。平和の問題は自治体の任務である」と発言。共感を呼びました。

私たちは連帯へ向かおう

 原水協主催の「ヒロシマ・ナガサキの悲劇を許さない」の分科会では、韓国原爆被害者協会の郭貴勲さんが「多くの韓国人被爆者が裁判闘争をおこなってきたのは、日本政府からの謝罪が、いつまでたっても実現されないからだ」と指摘。

 アメリカフレンズ奉仕委員会のジョゼフ・ガーソンさんは、「核兵器廃絶、憲法九条を守ろうとたたかっている日本人との共同は重要で、アジアの未来にかかわる。私たちは連帯へ向かおう」と語りました。

 民医連の村上医師は「靖国神社参拝を繰り返す小泉首相と憲法改悪を企む危険な動き」についてふれながら「われわれ若い医療者には何が求められるのだろうか」と発言しました。

九割の青年が九条改悪に反対

 日本原水協、ピースボート、バンクーバー九条の会などが共催した「日本国憲法九条・平和のための人類共通の宝」の分科会は会場に入りきれないほど。

 海外で唯一の九条の会「バンクーバー九条の会」の乗松聡子さんは、「九条の会をつくって一年。一〇〇人以上が参加し、カナダ人も三割いる。九条守れの署名は二〇〇〇筆」と報告。会場からは「日系人が多いブラジルでも九条の会を広めたい」の声も出ました。

 「日本の運動は熟年層が多いのでは」という発言に対し、清水さんが、石川民医連の青年九条の会の活動を報 告。「自転車パレードやシール投票活動などにとりくんでいます。青年と対話すると、九割の青年が九条改悪に反対です。青年も捨てたものではありません」と 話すと拍手がわき起こりました。

「すみやか」署名で市民と交流

 フォーラム参加にあたり、日本原水協代表団は、「すみやかな核兵器廃絶のために」署名を旺盛にとりくみ、 カナダ市民や世界に広げることを活動方針に掲げていました。市内最大のウオーターフロント駅前で「すみやか署名」を始めると、突然あらわれた一〇〇人の日 本人の「サインプリーズ」の呼びかけに、市民は「何事か」とビックリ。しかしジャンボ横断幕などを見て、快く署名に応じてくれました。署名してくれた方 に、折り鶴やバッジを渡すと非常に喜ばれました。

 約百カ国からの参加者が、主義や立場の違いを認めあいながら、核兵器廃絶、イラク戦争阻止、アメリカの覇 権主義を許さないなどで一致。そのために各国で市民と自治体(首長)がどのような行動をおこなうのかなど熱心に討論し、「平和で公正な世界」を共同してつ くりあげていこうと確認しあう集会となりました。

いつでも元気 2006.9 No.179

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