いつでも元気

2006年10月1日

原水爆禁止2006年世界大会 「核兵器のない世界」めざし20カ国以上から

原爆症認定訴訟、広島でも41人全員勝訴

大河原貞人 全日本民医連事務局次長

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大会初日の8月4日、広島地裁で、原告完全勝訴の判決が(提供「赤旗」)

 原水爆禁止二〇〇六年世界大会(八月四~九日、広島/長崎)の開会集会に、すばらしいニュースが飛び込みました。

 広島地裁に提訴していた「原爆症認定集団訴訟(国が原爆症と認定しなかった処分の取り消しを求める)」で、「原告四一人全員勝利」の判決が出たのです。

 この勝利がアナウンスされると、会場を埋めた参加者全員が思わず立ちあがり「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、厚労省は控訴するな」の大合唱に。感動的な大会幕開けとなりました。

 今年の大会のメインテーマは、「核兵器のない平和で公正な世界を」。その実現をめざし、「すみやかな核兵器廃絶のための行動と共同」「平和の国際ルールと日本国憲法九条」「被爆・核被害者の実相の普及、支援と連帯」について、国際会議や各分科会で深めあいました。

 海外からは、メキシコ、エジプト、マレーシア、キューバ、アラブ連盟の政府機関代表や、二一カ国から七〇数人の海外代表が参加。一刻も早い核兵器廃絶の実現を願う国際世論を実感しました。

「がん以外の病気も原爆に起因」と

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「一刻も早く核兵器廃絶を」と心一つに

 大会初日に出された広島判決は、五月の大阪地裁判決の「九人全員勝訴」からさらに踏み込んだ内容となっています。

 判決は、厚労省が認定の根拠としている「DS86」にもとづく被曝線量の算定や、「原因確立」および「審査の方針」が、「現在の知見からすると不十分な点も多く」、「さまざまな限界や弱点がある」と明確に指摘しました。

 そして、各原告の被爆直後の状況、急性症状、その後の生活状況・健康状態などを全体的、総合的に考慮した 上で、原告の疾病には放射線が起因している科学的根拠があると判断しています。白内障、慢性肝炎、骨折、慢性膵炎なども原爆に起因すると認定し、がん以外 の疾病に大きく門戸を開きました。

 原告側が主張した残留放射線や内部被ばくの影響が、再び認められたのです。

青年職員が平和活動の中心に

 世界大会には民医連からは青年職員を中心に約一五〇〇人が参加。恒例の民医連参加者交流集会は、八月五日に広島で三七五人が参加しておこなわれました。

 第一部の列島リレーピースアピールでは、▽県連独自の辺野古支援・連帯行動のとりくみ(千葉)、▽平和自 転車リレーにとりくんで(新潟)、▽県連をあげてとりくんだ平和大行進(福井)、▽Kyotoピースフラッシュ(京都)、▽辺野古海上調査のとりくみ(沖 縄)などが、パワーポイントやDVDで報告され、全国各地で、青年職員を中心に、反核・平和運動のとりくみが、大きな広がりをつくりだしていることを確認 しました。

 第二部では、地元広島の青年職員もメンバーの一員である「Theインフルエンザ」のバンド演奏で、「青い空は」「広島のある国で」などをみんなで歌い、会場は一体に。「核兵器廃絶」「原爆症認定集団訴訟支援」「憲法九条守れ」の決意を固めあいました。

写真・廣田憲威(全日本民医連事務局次長)

国は控訴 広島判決に対し、厚労大臣は八月一一日、控訴しました。被爆者の切なる願いを踏みにじり、被爆者の苦しみをさらに増大させるものです。被爆国の政府が原爆の影響を認めないことは、核兵器政策に固執するアメリカを助けるもの。多くの国民を裏切る行為です。

 全国各地で裁判に立ち上がっている原爆症認定集団訴訟原告のうち、すでに二五人もの原告が死亡し、被爆者に残されている時間はわずかしかありません。まさに生命をかけたたたかいです。

 政府や厚労相がなすべきことは、判決で指摘された認定行政の誤りを、ただちに抜本的に改めることです。控訴という暴挙を、断じて許すことはできません。

いつでも元気 2006.10 No.180

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