MIN-IRENトピックス

2020年8月4日

お金をかけない健康法

 今回は減量に成功した人たちの事例を紹介します。新型コロナ対策としても、肥満克服は重要です。
 Aさんは「肥満は万病のもとですね」とズバリおっしゃった学校の先生です。当初BMI25で、駅で転んだこともきっかけになり、食事の注意と適度な運動に取り組みました。私の説明からキーワードを明快にして、1年間で体重を57kgから6kg減らしました。動機付けの重要性を教えてくれます。
 Bさん私の溜め息が有効だった50代の主婦です。実母を献身的に看病しながら、自身も高血圧や脂質異常、変形性関節症などで10年来の外来通院。実母を在宅で看取った後に減量に取り組みましたが、BMI28が減ったり増えたり。そのうち足がしびれ、腰痛が出現し、血液検査の数値が悪化してきました。
 あるときBさんの受診時に私が溜め息をついたそうで、「心にズキッときた。心配をかけている」との思いからダイエットに突き進んだのです。糖質制限ダイエットを実践し、1年半で20kg減、BMI23に改善されました。
 Cさんはめまいや吐き気がつらくて往診依頼してきた60代半ばの主婦。血圧は上が170、下が90で、BMI34は20代の時の約2倍です。「脳卒中予防のため」と降圧剤を処方して減量を指示したところ、必死になったようです。ご飯の量を減らし、間食や甘い物はやめて、よく噛んで腹8~5分目。エレベーターを使わずに階段を歩くことを徹底。
 おかげで体重は4カ月後に14kg減、1年後には25kg減に。「減らしすぎでは」との主治医の心配をよそに、2年間で40kg減、BMI18まで到達しました。以来、現在まで10年間、元気で軽々と動いておられます。
 Dさんは60代の地方公務員。BMI30で栄養指導を5回受けたものの、効果が不十分でした。定年退職をきっかけに本格的に減量に取り組むことに。
 飲酒の機会を減らし、1日2~3万歩のウオーキングなど規則正しい生活を心がけました。食事は朝食に牛乳と青汁、昼は水分摂取にとどめ、夕食は栄養バランスを考慮したたっぷりメニュー。2年間で25kg減、BMI22を達成して、血圧も下がったため降圧剤に頼る必要もなくなりました。
 自分の体験から来る不安や納得できる動機付けで、減量への道は開けるのです。


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2020.8 No.345

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