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2020年8月4日

第1回評議員会のポイント 岸本事務局長に聞く いのち、憲法、綱領の視点でコロナ禍の困難招いた政治の転換を

 全日本民医連は8月22日、第44期第1回評議員会を開きます。全日本民医連理事会は方針案を発表。そのポイントについて、岸本啓介事務局長に聞きました。(丸山いぶき記者)

 第44回定期総会から半年、今回の第1回評議員会は、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックという、民医連の歴史でも経験したことのない困難の中で迎えます。

■コロナ禍をふり返る

 新興感染症に対して、当初は漠然とした不安の中で対応を迫られました。次第に医療・介護事業の継続も危ぶまれる経営の実態が顕在化。非正規雇用労働者の解雇・休業、中小企業の倒産があい次ぎ国民生活は悪化。各地の実践で深刻な事例も明らかになりました。
 第1章では、そうした困難の中、全国の経験と教訓を学びあい、団結と連帯を強めてきた、この5カ月間のとりくみをふり返りました。民医連の医療・介護事業所でも、感染者が発生しましたが、大規模クラスターは免れました。過去の教訓を全国で生かし、医療の質の向上に努めてきた感染対策の土台があったからです。感染症の専門家の協力も得て学習をすすめ対応。共同組織のみなさんの支援も大きな力になりました。
 日本の医療・介護経営の深刻な危機に対し、第1次補正予算分すら届かない現状への怒りは、大きく広がっています。きっかけは、民医連の医科法人が赤裸々に明かした深刻な経営実態です。「日本の医療と介護を守れ」の声を医療界の一致した要求に押しあげ、世論をつくりました。日本医師会も7兆円超を要求。第2次補正予算で不十分ながらも前進させました。さらにすべての医療機関・介護事業所への損失補てんを、必ず勝ち取りましょう。

■困難の原因は?

 なぜ、ここまで医療・介護、国民生活が危機に陥っているのでしょうか。第2章では、このことを深く掘り下げました。
 第44回総会運動方針では、綱領改定後10年で強行された社会保障の改悪をふり返りました。安倍政権による新自由主義的な国づくり、社会保障と税の一体改革で、社会保障は自己責任に変質。非正規雇用労働者は急増し、格差と貧困はますます拡大しています。一方で、保健所やPCR検査体制の強化を求める専門家の意見を無視し、病床削減ありきの地域医療構想、公立・公的病院の再編・統合を推進してきました。
 今日の危機の原因が、こうした新自由主義路線にあることは、世界でも、日本の医療界でも、野党間でも一致した見解になっています。日本病院会会長が「病院は診療報酬などの影響でグロッキーになっているところに、新型コロナウイルス感染症拡大というパンチが飛んできて、ダウンしている状況」「もう少しでノックアウト寸前」と表現した言葉が象徴的です。
 政府はコロナ禍を経てなお、全世代型社会保障改革「第2次中間報告」「骨太の方針2020」で従前の改革を「着実にすすめる」としています。しかし、この道は決して許されるものではありません。すべての人の受療権の保障と医療・介護提供体制の充実へ、いのち、憲法、綱領の視点で運動を強めましょう。

■総会運動方針の実践へ

 第3章では、第2回評議員会までの重点課題10点をあげました。長丁場のとりくみを見据え、全国の英知を集め、「職員を守る」を第一に備えていきましょう。また、7月に発生した豪雨災害は、甚大な被害となっています。頻発する災害に備え、あらためてMMATへの登録、マニュアルの整備を呼びかけます。
 今回の評議員会は、コロナ禍という困難の中、全国すべての法人、事業所、職場、職員が主人公です。全国のとりくみに学ぶと同時に、自分たちの事業所、職場でのとりくみもふり返りましょう。職場や家庭など身近で起きている困難の原因がどこにあるのか、コロナ禍の後に決して元に戻したくないことは何か、積極的に議論してください。
 第44回総会運動方針は、コロナ禍の実践においても各地で脈々と生き、その重要性を浮き彫りにしています。第2回評議員会へ向け、より全面的な実践に奮闘していきましょう。

(民医連新聞 第1719号 2020年8月3日)

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