医療・看護

2020年8月18日

診察室から 声かけで医科歯科連携

 私は福岡県南部の大牟田市で、歯科医師として患者の健康に携わっています。4年目でまだまだ精進が必要な日々です。歯科は近年、誤嚥性肺炎や糖尿病などと大きく関連していることがわかり、「医科歯科連携」の大きなうねりの中にいます。病気を治すだけでなく予防し、口の健康を保ち、患者のQOLを向上する。そのような医療が求められています。
 とはいえ、歯科医師や衛生士が実際にかかわれる人は非常に少ないのが現実です。歯科に来院する人以外には、残念ながら口の健康のお手伝いはできません。そして、来院することができない人たちの中にこそ、口の健康を保たなくてはいけない人が多くいます。
 みなさんは普段、目の前の人の口を気にすることはありますか。明らかに口が汚れている人、口臭がする人、歯がないのに入れ歯をしていない人が、いるかもしれません。そんな人にみなさんから「歯科を受診しませんか」と声をかけてもらえないでしょうか。
 歯科では口の健康状態が非常に悪い状態を「口腔崩壊」と呼ぶことがあります。決して珍しいことではなく、普通に過ごしているように見える人でも該当することがよくあります。歯科の病態は表に出にくく、そのことが口の健康を阻害する原因になっています。多くの患者に携わるあらゆる職種のみなさんから、患者に声をかけ提案してもらう。それは結果として患者の口の健康につながります。
 ここまで読み、気づいた人もいると思います。最初に紹介した「医科歯科連携」は私たち歯科医師や衛生士ではなく、さまざまな職場で患者に携わるみなさんも大きくかかわっているのです。「口腔崩壊」を改善するきっかけの多くは、「知人に勧められた」だったりします。多くの人と顔を合わせるみなさんにこそ、歯科受診を勧めてもらいたいのです。歯科医師・衛生士だけでなく、あらゆる職場のみなさんと手を取り合い、医療従事者チームとして患者の健康をささえていけるようにいっしょにがんばりましょう。(後藤大樹、福岡・米の山病院歯科)

(民医連新聞 第1720号 2020年8月17日)

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