MIN-IRENトピックス

2020年8月31日

お金をかけない健康法

 前回までは、肥満克服の重要性とその実践例を紹介しました。今回はより具体的に、減量のための食事や食べ方の注意などについて、管理栄養士の西川恵美子さんにご指導いただきます。
(質問1)減量のためのカロリー制限について教えてください。
(回答)食事で摂取したカロリーが運動などで消費されるカロリーを上回ると、過剰なカロリーが脂肪として蓄積されて肥満になります。減量のためにはカロリー制限が必要です。1日に消費する総カロリーを標準体重から計算して、その範囲内に制限します。※1
 その際に大切なのは栄養素をバランスよくとることです。炭水化物での摂取カロリーを全体の50~60%として脂質は20~25%、たんぱく質は体重1kgあたり1日1・0~1・2gを目安に、適量のビタミンやミネラルも必要です。
(質問2)糖質制限についてはいかがですか。
(回答)糖質は脳と身体の重要なエネルギー源ですが、とり過ぎると脂肪組織として体内にたまり肥満になります。これを避けるために糖質制限ダイエットが提唱されましたが、問題点も指摘されています。極端な糖質制限によるエネルギー不足やたんぱく質のとり過ぎで、体調を崩す方もいます。脂肪を多くとると脂質異常症の悪化につながりますし、高たんぱく食は腎障害のある方には心配です。注意しながらの緩やかな糖質制限が望ましいですね。※2
(質問3)減量のために効果的な食べ方、時間や順番などを教えてください。
(回答)「よく噛んで、腹八分目」はしばしば強調されます。さらに、(1)1日3食規則的に食べること。欠食して空腹感が強まると、その反動でドカ食いしやすくなります。(2)野菜など食物繊維の多い食材・料理を先に食べる。消化・吸収を緩やかにして、血糖値が急上昇するのを防ぎます。(3)寝る2時間前には食事を終わらせる。夜遅い時間帯の食事は食欲を抑えるホルモンのバランスを崩し、過食につながります。(4)全体を薄味に。1日の塩分摂取量は6g未満に抑えましょう。(5)お菓子のまとめ買いをしない。(6)脂肪のとり過ぎに注意。油は少量でも高カロリーです。ドレッシングやマヨネーズ、ナッツ類などのとり過ぎは禁物です。
 レッツチャレンジ、減量!

※1
1日に消費する総カロリー=標準体重×身体活動量
標準体重:身長(m)×身長(m)×22で算出
身体活動量:軽い労働(デスクワーク)は25~30kcal、中等度の労働(立ち仕事)は30~35kcalで計算する
(例)身長160cmでデスクワークの人の場合
標準体重:1.6×1.6×22=56.32kg
1日に消費する総カロリー=56.32×25=1408kcal
※2
糖質をカロリー全体の50~60%以内に抑えつつ、少なくとも40%は確保する


西川恵美子さん
1992年、管理栄養士登録。給食協同サービスリップルで診療所外来栄養指導、保健指導担当。宮城県仙台市生まれ。


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2020.9 No.346

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