MIN-IRENトピックス

2020年9月8日

コロナ禍 職員のいのちと健康を守り 医療・介護を守る展望を 第44期 第1回評議員会

 全日本民医連は8月22日、第44期第1回評議員会を開き、方針を決定しました。コロナ禍のため初のWEB開催となりました。第44回定期総会から半年。新型コロナウイルス感染症対策と経営課題を中心に、情勢とたたかい、医師養成・医学対のとりくみについて各地から報告・討議を行いました。(代田夏未記者)

 山本一視副会長が開会あいさつ。「コロナ禍の危機でこそ、人権の後退を許さず、新たな平和、連帯、誰もが尊重される社会をめざす決意を」と呼びかけました。
 増田剛会長のあいさつで、永眠された全日本民医連顧問の莇昭三さんに感謝の意を込めて黙とう。総会から半年間に起きた7月豪雨災害、被爆75年の核廃絶へのとりくみ、特養あずみの里裁判の逆転無罪判決について述べました。
 44期は新型コロナウイルス感染症により、かつてない難題に直面。「職員のいのちと健康を守り抜くこと」を強調しました。また、「感染がここまで広がった要因は、新自由主義路線にあることが世界の共通認識になっている。この期におよんでも新自由主義政策推進に固執する、安倍政権の全世代型社会保障改革へ、対決姿勢を明確に示す」と述べました。
 来賓として韓国社会的医療機関連合会のキム・ボング会長、韓国緑色病院のイ・ボラ医師が韓国からあいさつ。特養あずみの里裁判の報告、支援のお礼を長野から行いました。
 岸本啓介事務局長が理事会報告。特養あずみの里裁判について「一審の有罪判決で萎縮した介護現場と関係者に安心と未来への希望を、利用者には生活の喜びを取り戻すと確信した」と話しました。
 今回の方針案について、積極的・肯定的な意見とともに団結の決意が寄せられました。「感染症という医療上の問題とともに、社会のあり方や政治と強くかかわる課題と理解できた」など、新型コロナウイルス感染症拡大をどう見るか、民医連の存在、役割への確信も多く寄せられています。
 情勢について「戦後75年を迎え、核兵器禁止条約批准へ向けた流れが前進している。今年中に核兵器禁止条約を発効させよう」と呼びかけました。
 臨時国会の開催を求めて、3点を強調。1つ目に、経済悪化により非正規雇用労働者が生存の危機に陥っていることに対し、立場の弱い人びとのいのちと暮らしを守る政策。2つ目に、経営悪化による医療・介護崩壊を防ぐ政治の決断。3つ目に、8月4日に自民党政務調査会が出した提言で「敵基地攻撃能力」を日本が持つことを求めた安倍政権に対し、提言の撤回を求めました。
 その後、2020年度上半期決算(案)の提出、会計監査報告がありました。

■全国の経験から学ぶ

 討論では、文書発言14本を含む33本の発言がありました。
○情勢とたたかい
 熊本の光永隆丸評議員は、コロナ禍の中で起きた7月豪雨災害について、県外の支援が受けられず復興が遅れている状況を報告。職員の健康を守りながら支援を続けていくと発言しました。
 広島の佐々木敏哉評議員は、「黒い雨訴訟」で原告84人を被爆者として認めたが、被告が控訴した件について、原告の思いを踏みにじった国へ、控訴を取りやめるよう訴え続けると報告しました。
 大阪の河原林正敏評議員は、コロナ禍で医療がひっ迫する中、維新の会が「大阪都構想」実施に向けた住民投票を強行しようとする姿勢について、維新の改革が医療現場を不安にさせ、地域住民に負担をかけると警鐘を鳴らしました。
○医師養成・医学対のとりくみ
 香川の原田真吾評議員は、小規模県連の研修医を孤立させないために、地協と協力して研修と交流を行い、民医連をめざす研修医の養成をすすめています。
 宮城の宮沼弘明評議員は、総合診療科中心の新たなプログラムを作成し、受け入れ枠が増加したと報告。医師養成の課題にも応えられるのではと展望しています。
○経営課題と新型コロナウイルス感染症対策について
 大阪の内田寛評議員は、深刻な経営状態に対して、県連経営委員会と地協が連携し、全法人の毎月の資金を把握。全法人と情報共有していることを報告しました。
 沖縄の座波政美評議員は、沖縄での新型コロナウイルス感染症拡大には米兵からのルートや、GoToキャンペーンが大きく影響している現状を報告しました。
 神奈川の野末浩之評議員は、県連で新型コロナウイルス関連での偏見や差別に対する職員アンケートを実施、院内感染のあった病院では職員の心身状況を調査し、半数以上の職員に精神的負担があると報告しました。
 群馬の高坂浩明評議員は、いのちの相談所「新型コロナ生活相談ダイヤル」を常設したことを報告しました。

* * *

 岸本事務局長は「困難な中、民医連運動の前進を模索し、運動方針の実践をしていることが交流できた。『医療・介護を守れ』は日本中すべてが対象。次なる波に対して力を合わせて乗り切ろう」と討論をまとめました。
 山田秀樹副会長が閉会あいさつ。「いま私たちは何を求められているのか問い直し、展望を持つことが大切。コロナと向き合う活動は困難を伴うが、全国の仲間の団結で乗り越えよう」と会を閉めました。

(民医連新聞 第1721号 2020年9月7日)

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