民医連新聞

2020年9月22日

フォーカス 私たちの実践 システムづくりを通じて育まれた組織の一体感 情報共有と連携強化京都民医連 あすかい病院往診センター

 京都民医連あすかい病院往診センターでは、情報共有の課題に向き合い、他事業所との連携強化をすすめています。第14回全日本民連学術・運動交流集会で、置村真世さん(事務)、西田沙耶香さん(看護師)らが報告しました。

 当往診センターは、医師、看護師、事務、運転手の計27人で診療にあたっています。管理件数は約380件(2020年9月現在)で、2年間で約180件増えました。この間、情報共有と連携強化に力を入れてきました。

■全職員から思い聞き試行錯誤

 以前は訪問コースや患者情報の共有体制が整備されておらず、職員は自ら得た情報をカルテに記載するも、「みんなに伝わっているのか」「他の職員からの情報をしっかり得られているか」と不安を抱えていました。互いを責めるような発言もありました。管理件数が増えるにつれ、ひとりひとりの患者の状態を職員間で把握しきれない事態に。上林孝豊センター長からは「事業所内で情報共有できていない」と指摘されました。
 そこでプロジェクトチームを立ち上げ、全職員の思いを聞き、みんなの問題意識につなげました(草の根作戦)。部署内会議で提案、評価を重ね、2018年5月に「院内情報共有シート(以下、シート)」を作成。これは定期訪問診療での特記事項、臨時対応した内容、新規依頼患者内容を1枚にまとめたもので、見ればその日の出来事の大枠が把握できます。
 シートは朝と昼、1日2回の申し送りで職責看護師が読み上げ、医師、看護師、事務で内容を確認。「みんなが信用できるツールをつくろう」と継続し、朝会で1分間スピーチも始め、1情報4行におさめられるように訓練しました。「あなたが気になる情報はきっとみんな知りたい情報」「困ったら相談を」と呼びかけました。
 京都医師会が推奨するネットワークサービス「京あんしんネット」の職場の情報共有項目にもシートを載せ、毎朝更新。外からもアクセスできるようにしました。
 業務が増えたため、職員からの「負担だ」との声も覚悟していました。しかし、「今まで孤独だったけど不安がなくなった」「話し合う機会が増えた」と、前向きな意見が多く聞かれました。管理部が行う職場診断でも、2017、18年度の結果が病院全体の評価より高く、特に「援助・チームワーク」「コミュニケーション」「リーダーシップ」で高く評価されました。
 こうした結果や多忙でも継続できている背景には、全職員からていねいに意見を聞き、評価、改善をくり返した経過があります。意見を尊重し、試行錯誤したことが、職場の風土にプラスの影響を与えました。課題は、シートをセンター長以外の医師にも浸透させること。当院全体での情報共有をめざし、院内学習会でシートを紹介する活動を続けています。

■顔の見える関係づくり

 「病棟の退院前カンファレンスに呼んでもらえなかった」「なんでこんな状態で家に帰すんだろう」という、職員の不満の声を聞くたびに、悔しい思いをしました。目と鼻の先の距離にある院内の他部署を遠く感じることに違和感があり、足を運び日常的なかかわりを増やそうと、同時期に連携強化にもとりくみました。
 往診センターの看護師が病棟のカンファレンスに参加したり、法人内の訪問看護ステーションと毎週の事例検討を開始。往診に移行する可能性のある人を早期につかみ、病棟や外来から新規依頼の声がかかることも増えました。プロモーションビデオも作成。当センターの1日や訪問の様子がわかる内容を院内外に発信しました。
 さらに、地域や他事業所向けの学習会、懇談会を積極的に開催。介護職向け学習会は反響も大きく、「医師に直接質問できて良かった」「もっと聞きたい」と計275人の介護職が参加。意欲やニーズをつかむ機会になりました。
 直接会って話すと、次に電話で話す時に話し方も変わります。顔の見える関係づくりは重要です。今後も医療・介護従事者が同じ方向を向き患者・家族をささえられるよう、積極的に実施します。

*  *  *

 当センターで大切にしていることは、(1)医療だけではなく暮らしもささえること、(2)患者・家族の不安や負担に向き合うこと、(3)患者をささえる他職種との連携を大切にすること、の3つです。情報共有と連携強化は、どちらも患者の思いをかなえるためです。迷ったときはいつでも理念に立ち返り、地域に求められる往診センターをめざしていきます。

(民医連新聞 第1722号 2020年9月21日)

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