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2020年10月6日

「総がかり」で守ろう いのち くらし オンライン署名をひとりで立ち上げ 室生暁さん #赤字の病院を救って コロナ受け入れ関係なくすべての病院に財政支援を

 多彩な人たちと手を結び、総がかりでいのちと暮らしを守ろう―。今回は、都内の医科大学で研究職をしている室生暁さんです。新型コロナウイルス感染症拡大で経営難に陥っている医療機関を何とかしたいと、ひとりでオンライン署名を立ち上げました。8月25日には国会議員へ署名を提出。病院への財政支援を求めました。(代田夏未記者)

■「医療は大切」と署名

 オンライン署名で求めたのは、コロナ禍で経営難に陥っている医療機関へ、国が減収補てんをすることです。きっかけは5月頃、新型コロナウイルス感染症の対応により、全国的に病院が赤字であるというニュースを見たことでした。そして、室生さんが勤める大学の附属病院でも10億円の赤字だと聞き、オンライン署名を立ち上げました。
 今回初めて署名を集めたという室生さん。学生たちが行う「一律学費半額を求めるアクション」を参考に、Twitterで署名を呼びかけました。「紙の署名にはどうしても人手が必要。その点、オンライン署名はひとりでも簡単に立ち上げられた」と室生さん。
 6月末にオンライン署名を立ち上げると、医療従事者ではない人たちからも「医療は大切」と署名があり、Twitterで呼びかけてくれました。また、著名人が賛同してくれたことで、1~2万もの署名数が伸びたと言います。

■議員からも賛同の声

 8月25日には、その時点で集まった4万6276筆の署名を国会議員に届け、大学での様子や、ニュースで聞いた8割の病院が経営難になっている実態、ボーナスがカットされている医療現場の実情を伝え、オンライン署名のサイトへのコメントも印刷して渡しました。各党の議員からも賛同の声があり、医療機関への支援は必要不可欠との認識を互いに確認できました。
 国会議員へ申し入れを行ったことをSNSへ投稿すると、大学時代の友人が署名してくれたり、「新聞を見たよ」と同僚たちも署名してくれました。
 9月22日には世論を盛り上げようとTwitterデモを行いました。「#赤字の病院を救って」のハッシュタグを入れて、いっせいツイートを呼びかけました。予告のリツイートは1000を超え、中には民医連のアカウントも。当日は「#赤字の病院を救って」がトレンド入り。多くの人に病院の現状を知ってもらう機会になりました。署名数も伸び4万7000筆を超えました。

■政府の対策は…

 政府は9月15日、新型コロナウイルス感染症対策として、予備費の約1兆6000億円での医療体制の確保、一部の診療報酬引き上げなどを発表。しかし、検査体制を拡充する人的支援や保健所の強化、新型コロナウイルス感染患者を受け入れていない病院に対する支援はありません。
 この発表に対して室生さんは「やらないよりはいいけれど、コロナ診療ができるのは大きい病院だけ。赤字の病院はコロナ診療をしている病院だけではない。コロナ感染者を受け入れていない病院にも支援が不可欠」と話します。「署名では『赤字の病院すべてに減収補てんを』と訴えています。患者減少に対する減収補てんに加え、感染対策のための支出増に対する補てんも必要です」。

(民医連新聞 第1723号 2020年10月5日)

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