いつでも元気

2006年11月1日

ビックリ 大増税! 払い過ぎた税金はとり戻せる 相談活動ひろげ、庶民増税許さないとりくみを

 全国生活と健康を守る会連合会

事務局長 辻清二さんに聞く

 ことし六月、住民税、国民健康保険料、介護保険料の通知が届き、大幅な増額に驚きの声が上がりました。「昨年度まで住民税がかからなかったのに、今年度から税金がかかるようになった」「住民税が九倍になった」…各自治体の窓口には問い合わせが殺到しました。

所得税増税は昨年から

 じつは今回の大騒動の前に、昨年から所得税を初めてとられるようになった、という方がおおぜいいました。税制改悪により、「老年者控除の廃止」「公的年金等控除の縮小」「定率減税の半減」がおこなわれ、課税基準が一気に下がってしまったからです。
 それでも年金生活者の場合、所得税を年金から天引きされてしまうので、どこに文句をいえばいいのかわかりにくかった。それが今度の住民税は、身近な区役 所・市役所、町村役場が相手です。しかも住民税では「高齢者の非課税措置(所得で一二五万円以下)」がなくなったために、課税される人がさらに激増。役所 の電話がパンクするほど抗議が殺到しました。
 住民税や国保税(料)、介護保険料も昨年の所得、税額にもとづいて算定されます。そのため住民税だけでなく国保税(料)、介護保険料も、大幅に引き上げられてしまったのです。

モレなく控除の申告を

収入はふえないのに税金がふえる!?
年金受給者の住民税の主な控除額

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 年金から所得税を引かれた方は、三月に確定申告をしましたか? 控除に申告モレはありませんか?
 税務署に還付申告すれば、払い過ぎた税金が戻ってくる可能性があります。主な控除には、次のようなものがあります。
 (1)国保税(料)、介護保険料などの社会保険料控除、(2)医療費控除、(3)障害者控除、(4)寡婦(夫)控除、その他。

 医療費控除は、「年間の医療費が一〇万円を超えた場合」だけだと思っている方がいますが、「所得の五%か、一〇万円か、どちらか少ない方」を超えた場合に超えた分を控除できるのです。
 年金が二〇〇万円なら、公的年金控除(一二〇万円)を差し引いた所得は八〇万円。その五%は四万円ですから、四万円を超えた分の医療費相当額を控除する ことができます。医療費が月一万円かかるとすれば、所得税と住民税で一万円以上安くなる可能性があります。
 保険外診療(自費)の医療費や、市販薬、通院時の交通費なども控除の対象になります。領収書をとっておきましょう。
 障害者控除は、納税者本人が障害者の場合、所得税の控除額は二六万円(重い場合は三〇万円)、住民税は所得一二五万円の非課税が適用されます。
 障害者手帳の交付を受けている人はもちろんですが、手帳がなくても、六五歳以上で区市町村長等の認定を受け、「障害者控除対象者認定証明書」が交付され れば障害者控除の対象になります。介護保険の医師の意見書で認定する自治体もあります。要介護認定者にこの「証明書」を出させるとりくみも広がっていま す。
 寡婦(夫)控除の該当要件は、寡婦(1)夫と死別または夫の生死が明らかでなく、所得五〇〇万円以下(2)夫と死別・離婚または夫の生死が明らかでな く、子を扶養している者。寡夫の場合は、「所得五〇〇万円以下」「子を扶養」の両方が要件です。
確定申告していない人は、過去五年分について申告でき、税金を還付させることができます。すでに確定申告をしている場合の医療費控除の追加は一年以内です から、注意してください。

年金生活でも住民税申告を

 住民税については、「高齢者の非課税措置」が原則的に廃止されていますが、障害者や寡婦(夫)については、所得一二五万円という非課税措置は残っています。
 これまで住民税非課税の年金生活の方は、「住民税申告」をしない人が多くいました。住民税がことし初めて課税になった人のなかには、「経過措置」として 負担軽減されている人もいますが、その人たちも今後二年間で、毎年負担増となります。「住民税申告」や所得の申告をし、今ある制度を活用して、払いすぎた 税金を取り戻すとりくみを広げましょう。

市区町村の窓口で確認を

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「生活と健康を守る会」と協力して生活相談(青森・中部クリニック)写真=民医連新聞

 住民税や国保税(料)、介護保険料については、条例で「減免」制度が決められています。減免の基準は区市 町村によって違い、基準を細かく決めている区市町村もあれば、とくに基準は定めずに担当窓口で柔軟に対応しているところもあります。区市町村の窓口で相談 してください。
 確定申告による税金の還付と違って、軽減制度は申請にもとづく制度ですが、時期を逃すと受けられなくなります。
 住民税は「六月、八月、一〇月、一月」の年四回、国保税(料)も年に何回かの時期にわけて請求されます。たとえ減免の要件を充たしていても、基本的には その納付期限が過ぎた分についてはさかのぼって減免を受けることができません。
 区市町村によっては「減免申請は納付期限の七日前まで」などと決めているところもありますので注意してください。
 民医連・共同組織のみなさんと、各地の「生活と健康を守る会」で相談活動もさらに活発に取り組んでいきましょう。

高齢者を襲う大増税
  2006年6月 07年6月 08年6月
公的年金等控除 縮小    
老年者控除 廃止    
高齢者の住民税
非課税措置(※)
廃止
(1/3増税)
廃止に伴う増税
(2/3増税)
廃止に伴う増税
(全額増税)
定率減税 半減 全廃  
住民税率   一律10%化  

(※)高齢者の住民税非課税措置の廃止にともなう軽減措置は、05年度に非課税だった人が全員適応されるのではありません。05年の所得125万円以下で 05年1月1日現在、65歳以上の人が対象です。

いつでも元気 2006.11 No.181

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