医療・看護

2020年10月20日

診察室から 医療って楽しいよ

 例年に比べ秋の到来が早いように感じます。今年も医師臨床研修マッチングの時期になりました。
 先日、医学生対策委員会主催の「医学部を目指す高校生に向けた学習会」企画で講師を務めました。初期研修医とは普段からかかわっていますし、医学生に接することもあります。しかしこれから医学部をめざす(かもしれない)高校1・2年生に対して何を話したら良いのか、皆目見当がつきません。私が16歳だった時、学校の先生でも叔父でもない49歳のおっさんの話なんて聞くよりは、好きな音楽を聴く時間の方を優先していたであろうことを思うと、世代も感覚も真面目さも程遠い彼らへ伝えられることはあるのか。それも「将来いっしょに働いてくれるとうれしい」というメッセージを込め、さらにこのコロナ禍の中、オンラインで相手の反応が直に伝わってきにくい環境。ミッション・インポッシブルを任されたベンジーの気分でした。
 説教臭くならず、と言って若者にこびるわけでもなく、と突き詰めていくうちに、「医療って楽しいよ」ということをシンプルに伝えれば良い、という結論に至りました。その楽しさの内容として総合診療科という入り口で患者の主訴によらず診療をすること、診断をつけること、臓器だけではなく背景・家族や社会とのかかわりで患者を捉えることの3つを挙げました。診断をつけることは医師の仕事の大前提ですが、それで終わりではなく、そこから次の問題、正解のない世界での試行錯誤が始まることがあります。
 こうしたことをクイズを交えながら話し、学習会は成功裏に終わりました。感想は好意的なものが多く、与えられた役割を果たせた充実感と、それ以上に参加者からもらったエネルギーに程よい疲労を感じながら帰路につきました。
 数年後、彼らといっしょに働くことができればこれ以上の喜びはありません。また医学生対策委員会の仕事は年単位で成果が出ることもあるのだと実感した企画でもありました。(比嘉研、群馬・利根中央病院)

(民医連新聞 第1724号 2020年10月19日)

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