MIN-IRENトピックス

2020年10月20日

連載 学ぼう 運動方針⑤ 今こそ! 共同組織と力を合わせていのちと暮らしを守る活動を

 今年の共同組織拡大強化月間は、新型コロナウイルス感染拡大により各県連でとりくみます。コロナ禍の今こそつながりを強め、孤立を生まないまちづくりが重要です。地域・民医連にとってかけがえのない共同組織を強く大きくする月間にしましょう。各地では独自のとりくみがすすんでいます。(代田夏未記者)

共同組織 拡大強化月間 スタート集会

東京民医連

■今こそ共同組織の出番

 9月17日、東京民医連は共同組織拡大強化月間スタート集会をオンラインで開催しました。72カ所から22法人、251人(職員90人)が参加しました。
 東京民医連副事務局長の西坂昌美さんが開催あいさつ。「コロナ禍の今こそ共同組織の出番。経験を共有して発展させよう」と呼びかけました。共同組織連絡会代表世話人の布施仁さんが、全国共同組織連絡会から報告しました。その後、東京民医連共同組織委員長の松崎正人さんが、今回の月間のポイントとして、「新しいスタイルをつくりあげよう」と提起しました。

■事業所の豊かなとりくみ

 立川相互病院は感染者の検査・入院を受け入れたことで1億円の赤字に。そこで健生会の三多摩健康友の会では、公的補償を求めて東京都と交渉し、日野市にPCR検査センターを実現しました。また、布マスク、フェイスシールド、ガウンの作成で職員を応援しています。今は入院患者用の紙マスクづくりも行っています。
 西都保健生協では、集まれなくてもつながりをつくりたいと考え、回覧ノートのとりくみを始めました。日記を書き、お散歩がてらノートを仲間のお宅にポストイン。ノートが一周するとみんなの様子がわかります。仲間同士で集まることができないからこそ「つながりができてうれしい」と多くの声をもらいました。この回覧ノートをきっかけに新しい班も誕生しました。
 東京ほくと医療生協は、「みんなのスマホ教室」を開催しました。スマホを持っていても電話機能しか使っていない人も多く、使いこなせるようにしようと企画しました。IT系に勤める2児の母で組合員のAさんを講師に、基本操作からLINE、ビデオ通話などを学びました。今後、受講者が講師になり、各支部での開催を予定しています。最終目標に37支部でLINEのグループをつくろう! ととりくんでいます。
 ほかにも、健友会・中杉健康友の会、健和会・健和友の会ではそれぞれ、アンケートにとりくみました。


「地域の役に立つ診療所」と実感 組合員といっしょに総対話活動

東京西部保健生協

 新型コロナウイルス感染拡大により、組合員活動が中止に。楽しく集うことができず、組合員にも外出自粛で身体の不調を訴える人が見受けられました。そこで、東京西部保健生協は新しい日常に対峙する「新しい組合員活動」が必要、と準備をすすめました。

■ひとりの心配から総対話へ

 新型コロナウイルス感染患者がまだ少なかった2月中旬、組合員や外来の患者から「診療所近くの病院で感染者が出たみたい」「張り紙やテントが出てるよ」と情報がありました。診療所にも緊張が走り、すぐに組合員活動を自粛することにしました。
 感染の恐れから外来患者は減少。「いつも外来に来ている人はどうしているのだろう」と心配になった看護師の新井陽子さんは、「電話で生活の様子を聞きたい」と支部に相談し、ひとり暮らしで心配な人など15人ほどに電話をしました。「電話ありがとう。診療所から電話してくれるなんて思わなかった」と喜んでくれたと言います。
 電話がけの中で「情報が入らず不安」という声が多く聞かれました。電話で受診できることを知らない組合員も多く、「これは知ってもらうチャンス。私たちから声をかけなきゃ」との新井さんの発信から、法人全体での総対話活動が始まりました。

■自宅でも健康づくりを

 6月から本格的に始まった総対話活動は、「組合員全員に電話しよう」を目標に、組合員と協力して、現在1000件を超えました。体調不良や運動不足など「身体的なこと」、感染の不安など「精神的なこと」、人間関係や経済面など「社会的なこと」の3つの視点から聞き取りをしています。
 過半数の人は「元気にやっています」「大丈夫です」の返事でしたが、「体力が落ちて動けなくなった」「外出できなくて健康が不安」などの声も多くありました。
 そこで今まで続けてきた、ころばん体操を再開できないかと検討し、ころばん体操リモート交流会を7月から始めました。つながりを持ってほしい、家でも健康づくりを続けて元気でいてほしいという思いから、公共施設を借りて小会場に分割し、会場をリモートでつなぎ、自宅からも参加できるようにしています。
 参加できない組合員にも、以前からかかわりのあるWHO順天堂大学CIISプロジェクトチームの協力を得て、自宅でできるエクササイズのDVDやCDと、1週間ごとの体操カレンダー、アンケートを郵送して健康づくりをすすめています。

■心のよりどころに

 9月29日、区民集会所には「若いわねー」「かっこいいね」「早いじゃない!」と明るい声が飛び交います。体力測定から始まった支部活動には、組合員18人が約7カ月ぶりに集まりました。ころばん体操の前に体力測定とアンケートを行い、3カ月後に再び体力測定をします。結果を比較し、対話でも呼びかけている自宅のエクササイズの効果を確認します。
 ころばん体操を終えると、「久しぶりでも体は覚えているものね」「来ようか迷ったけど、みんなに会えて良かった」の声にうなずく参加者たち。活動のなかった期間は、「家にこもってばっかりで体調を崩した」「ラジオ体操を毎日してたよ」と盛り上がり、「みんな変わっていなくて安心した」など終始笑顔が絶えません。ころばん体操が体力維持に大切なことだと知ったと同時に、心のよりどころにもなっていました。
 「みんなの顔を見るとホッとする」と話すのは、組合員の川村佐重子さん。対話活動も行っています。「外出自粛期間中に亡くなった組合員もいた。家族も組合員でないと、なかなかわからない」と話し合い、月間では家族ひとりひとりの加入を呼びかけています。

*  *  *

 対話活動で職員にも変化がありました。具合が悪くても相談先がわからず困っている人に電話受診を案内したり、体力が落ちて受診に行けない人には送迎車を出して受診につなげたことから、「診療所が地域の役に立っていると実感でき、感謝の声に職員も元気をもらっている」と新井さん。対話を通して職員も地域における診療所の役割を再確認し、楽しく総対話活動にとりくんでいます。


電話&訪問で1万件対話を 困難を抱える人に足を運んで

北海道

■コロナ禍にこそ地域へ

 道央健康友の会は例年、共同組織拡大強化月間で1万件訪問にとりくんでいました。今年は新型コロナウイルス感染症拡大のため、電話がけにしようと準備をすすめましたが、「こういう大変なときこそ、電話だけでなく訪問も大切なのでは」と、電話と訪問の対話1万件でつながろうと目標を立てました。
 札幌東健康友の会は、職員といっしょに訪問をしています。友の会会員の吉岡ゆうさんは「勤医協中央病院でクラスターが起きたことや新型コロナの対応で、訪問活動ができるか心配していたけど、職員から『地域にはもっと困っている人がいるから、そこに足を運ぼう』と言ってくれた」と話します。地域には高齢者が多く、「家にこもっている」「健診に行けていない」「デイサービスを控えたら体が弱った」などの声が寄せられています。
 50代で観光業を営む夫婦への電話では、「4~5月はほとんど収入がなく、お米もつきた。3人の息子の学費もある。特別定額給付金では足りず、お互いの両親の給付金ももらい、今は運送業で働き、何とか生活を維持している」と話し、「誰にもこんな話はできなかった」と感謝していました。対話から、身近に困窮していても声を上げられない人がいることを知り、「もっとつながろう」と対話を広げています。

■地域も巻き込みささえ合う

 全日本民医連から届いた「いのちの相談所ポスター」は、会員の家のほかにも、商店街に掲示のお願いをしました。在宅事業所や豊平清田友の会が先進的にとりくみ、ラーメン屋や銀行、コンビニ、銭湯などに掲示を依頼。ほとんどが快く受け入れてくれました。あるお店からは、「チラシの方がいいのでは」と提案され、チラシも作成して置いてもらっています。
 「ポスターを掲示してもらうのはハードルが高いと思っていたけれど、協力的でびっくりした。コロナ禍でお店も大変な思いをしていると思う」と吉岡さん。困難を共有し、地域で協力して発信することの大切さを実感しました。
 ほかにも、『いつでも元気』180冊の増誌を目標にとりくんでいます。西手稲健康友の会では、8月の原水爆禁止世界大会に募金してくれた人に、お礼を兼ねて電話をし、『いつでも元気』をすすめると、12部も増誌に。吉岡さんは「『いつでも元気』は全国を結ぶ雑誌。地域活動の参考にもなる。ためになるという声や、班会で読み合わせしているところもある」といいます。現在は増資目標の50%まで達成しています。

*  *  *

 友の会の呼びかけでマスクや古布切れを集め、病院に届けました。ほかにも、患者からの感謝の声や地域の小学生からの手紙など、地域でささえようという動きもあります。「見える形での支援は、病院職員にとって大きなささえになる」と吉岡さん。職員と友の会、地域がつながって、ささえ合いを強めています。

(民医連新聞 第1724号 2020年10月19日)

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