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2020年11月3日

連載 学ぼう 運動方針⑥ 職員育成 成長の契機は民医連運動のなかにある

 学ぼう運動方針―。6回目は、職員育成についてです。昨年の民医連の綱領と歴史を学ぶ大運動が今、各地で大きな力になっています。2020年代に民医連は、どのような組織文化をつくっていくのか。全日本民医連事務局次長の岩須靖弘さんの寄稿です。

 「民医連で働いていることを誇りに思った」「民医連が『たたかうこと』を大事にしている意味がわかった」「綱領を学び深めたことが、コロナ禍での奮闘に生かされた。職場に理念が息づいている」―。
 昨年、全国で旺盛にとりくまれた民医連の綱領と歴史を学ぶ大運動は、多くの職員の確信になり、新型コロナウイルス感染対策を含む「医療・介護活動の2つの柱」の実践や、育ち合いの職場づくり、青年職員の育成などによい影響を与えています。
 44期の職員育成活動は、綱領学習大運動の積極的な経験を踏まえ、重点的なとりくみとして、第44回総会運動方針学習月間、世界的な人権保障の歴史と到達を学び、人権意識を高める活動などをすすめます。また全日本民医連として、2020年代の職員育成活動についての指針を新たにつくります。

綱領学習の到達に立って 運動方針、人権についての学習運動を

 全日本民医連第44回総会運動方針学習月間は、6月から9月まで行われました。コロナ禍の困難のなかでも、「こういう時こそ学ぶ活動を大事にしよう」「民医連の方針を日頃の活動と結びつけて深めよう」と、各地でさまざまに工夫をこらし、活発にとりくまれました。管理者・職責者の全文読了は約6割で、学習動画「未来へのカルテ2020」の視聴をはじめとする学習会は7656回開催され、6万人を超える職員が参加。いずれも前期の「月間」を上回る活発な学習運動になりました。
 「SDHの学習や事例検討と結びつけた方針学習」「気になる患者への電話がけや訪問」など、学びを行動につなげる意識的なとりくみがすすんでいます。「学習月間担当者WEB交流会」の開催など、幹部集団がイニシアチブを発揮し、県連的に活動を促進する努力も払われました。
 今期もひきつづき各地で、新入職員をはじめとした『学習ブックレット 民医連の綱領と歴史』の学習が行われています。民医連外の人たちからも「質が高い」と評価を受けた民医連基礎学習文献として、今後も制度教育や職場学習会などで継続的に活用しましょう。
 第44回総会運動方針では、第1章第3節で、2020年代の民医連運動の重要課題を提起していますが、そのひとつに「高い倫理観と変革の視点を養う職員育成の前進」を位置づけました。
 それは、日々の医療・介護現場で増える倫理的ジレンマや社会にはびこる競争主義と自己責任論をのりこえ、個人の尊厳が大切にされる医療・介護活動を進化させていく上での条件です。そのために来年度、多角的に人権をテーマに学び合う「人権カフェ」(仮称)のとりくみを具体化します。

2020年代を展望した職員育成活動指針の策定

 全日本民医連として「民医連職員育成活動の指針2021年版」を、来年夏をめどに策定します。民医連綱領と第44回総会運動方針にもとづき、2020年代の職員育成をすすめる基本的考え方と、活動の重点を提起するものです。
 民医連はこれまで「教育活動指針2012年版」を実践し、職場教育と職場づくり、青年職員の育成、憲法カフェ、綱領学習運動などにとりくんで、職員育成活動を大きく発展させてきました。2021年版は、その積極的到達点と教訓を反映させつつ、今日の時代と情勢の変化のなかで求められる育成活動の強化点について打ち出す予定です。
 中心的な内容は、2020年代に無差別・平等の医療・介護活動に携わる職員が、成長のきっかけとして何を大事にするか、事業所・職場にどんな組織文化をつくっていくか、そのためにどのように学び成長し合うか、などを示すことです。その上で、各種育成活動で大事な点を明らかにします。

不断の努力で、学び成長し合う組織文化の発展を

 民医連運動は医療機関・介護事業所の運動であり、職員が主体となった運動です。したがって、民医連について確信を深め成長しつつ、自らその運動を担おうとする職員集団なしに、民医連運動の未来はありません。その意味で、職員育成は民医連運動をすすめる基礎となる活動であり、いかなる状況でも、コロナ禍で従来のやり方では困難が増したとしても、曖昧にしたり軽視することなく、不断の努力が必要な課題です。
 職員ひとりひとりにとって「学び成長すること」は要求であり、その実現は喜びであり、仕事のやりがいや、ひいては人生の幸福につながるものです。それが民医連運動前進の条件でもあります。
 この間私たちは、日常的な医療・介護活動や社会保障・平和活動などの運動課題、共同組織活動を通して育成をすすめる「職場教育」の発展と、そのための職場づくりを一貫して重視してきました。それは、民医連運動そのもののなかに職員の成長の契機になる場面・局面が無数にあるからにほかなりません。
 学び合い、語り合い、ささえ合い、育ち合う職場風土のなかで、ベテランも青年もひとりひとりが大切にされ、頼られ、自己肯定感を高めつつ新たな課題に挑戦していける、そんな組織をめざしたいと思います。管理者、職責者、育成活動担当者を中心に、「不断の努力」を続けていきましょう。

(民医連新聞 第1725号 2020年11月2日)

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