医療・看護

2021年2月1日

【声明2021.02.01】感染症患者や医療機関等に罰則を設ける特措法と感染症法改正案に抗議し、罰則の全面的な削除を求める緊急声明

2021年2月1日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛

 1月29日政府は、日本医学会連合、日本公衆衛生看護学会、全国保健師教育機関協会、日本保健師活動研究会、日本看護系学会協議会、日本弁護士会等が相次いで反対の声を上げ、世論におされ「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下「特措法」という。)及び「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下「感染症法」という。)を改正する修正案を提出した。
与野党での修正協議が行われているなかで、刑事罰は撤回し、罰金を過料に切り替え、行政罰に変更したが、罰則規定は、国民の相互監視、分断、差別や偏見をもたらし、感染症対策に逆行するものである。行政罰も含めた罰則の全面的な削除を求める。
 そもそも感染症法は、かつて結核やハンセン病患者に対する隔離・差別・人権侵害が行われた反省にたって、患者の人権尊重が明記された歴史的経緯があり、罰則を明記すれば歴史を逆行することになりかねない。
 また、休業や営業時間短縮などへの補償は、1日最大6万円の協力金を出しているが、多くの事業者が「とても足りない」と悲鳴の声が上がっている。憲法29条が「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と定めていることを踏まえ、憲法29条の趣旨を明記し、正当な補償を求める。
 さらに、病床確保の勧告に従わない医療機関名を公表することとしている。感染症との最前線で日夜奮闘する医療機関に対し、減収補填などの要求には応じず、社会的制裁を科すなど許されない。各医療機関は地域医療を守るうえで、それぞれの役割を果たしている。罰則は地域連携の分断と、医療崩壊を助長するものであり、断じて認められない。
 全日本民医連は、すみやかに行政罰も含めた罰則の全面的な削除と、「勧告に従わない医療機関名の公表」の撤回・削除を求める。

以上

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