声明・見解

2006年5月17日

【抗議声明2006.05.17】国民に新たな負担を押しつけ、日本の医療を崩壊させる 医療制度改悪法案の衆院厚労委での採決強行に断固抗議し、安全・安心・信頼の医療を守るために全力でたたかう

2006年5月17日
全日本民主医療機関連合会
会長 肥田 泰

 自民党・公明党の政府与党は5月17日、衆議院厚生労働委員会で医療制度「改革」関連法案の委員会採決を強行しました。これからの日本の医療制度全体を大きくゆがめる医療改悪法案の採決強行に満身の怒りを込めて断固抗議するものです。
 衆院厚労委で強行した「医療制度改革関連法案」は、高齢者に2500億円もの負担を押しつける高齢者医療制度・入院の食住費負担をはじめ、高額療養費な どの現金給付の見直し、公的保険の範囲を縮小して民間保険・自費診療との混合診療の拡大に道を開き、国と企業の保険料負担を軽減し国保や政管健保被保険者 に大きな保険料負担をもたらす保険制度再編、長期入院のための療養病床の23万床削減など医療提供体制を再編するなど、我が国の医療保険制度と医療提供体 制を大きくゆがめるものです。

この間の衆院厚労委でのわずかな審議の中でも、参考人質疑や地方公聴会でも、現在の医療制度のかかえる深刻な問題点が明らかにされています。全国各地で深 刻化する小児科・産科をはじめとする医師不足と過重労働の問題、欧米の半分以下の看護師体制で安全・安心の医療が損なわれてきている看護師不足と多発する 医療事故の問題、OECD30カ国中医師数27位、看護師数19位という実態、受け皿のないままの療養病床廃止・削減で多数の「介護難民」が発生する問 題、患者負担の増加が進み健康格差が拡大してきている問題、6年連続の診療報酬引き下げによる厳しい経営環境で地域医療を担う病院がなくなるなど、日本の 医療制度がかかえる課題や問題点は、極めて深刻な状況になっています。

これらは、80年代から自民党政府・厚生省がすすめてきた、「いつでも誰でもお金の心配なく良い医療を」と世界に誇る国民皆保険制度を形骸化させる「医療 費抑制」「患者負担増」政策の帰結というものです。そして医療制度「改革」法案は、こうした日本の医療制度がかかえる問題を何一つ解決しないばかりか、 10年、20年にわたって日本の医療全体を一層深刻な方向に追いやるものです。
 自民・公明の与党や厚労省は、「制度の持続可能性」を主張しますが、これは、国の責任と大企業の社会的責任を外してしても「持続可能な医療制度」をつく ることに他なりません。まして国の財政難を口実に、高齢者・国民に新たな負担を押しつける一方で、米軍基地再編で国民の血税3兆円をアメリカに提供しよう とさえしています。ここに、国民生活では格差を広げセーフティーネットを切りきざみ、憲法改悪・教育基本法改悪をすすめて軍事大国化をめざす小泉自公内閣 の「小さな政府」の危険な本質が明確に示されています。

 現在の日本の医療費・社会保障費は欧米の半分程度であり、ムダな公共事業や軍事費・米軍思いやり予算を医療や社会保障の充実にまわすだけで、日本の医療 は改善できます。必要な医師や看護師を増やし、小児科・産科などの重点的整備に力を注ぐことで、国民のもとめる安全・安心の医療を提供することは可能で す。

私たちは、公的保険で誰もがよい医療を受けられることをめざし、国民の健康を守るために世界的にも高い患者 負担を引き下げ、欧米並みに国と企業の医療費をふやして国民皆保険制度を充実させることを求めるものです。そして広範な国民と力を合わせて、参議院での医 療制度改悪法案の徹底審議と廃案をめざしてさらに一層奮闘するものです。

以上

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