医療・看護

2021年4月6日

診察室から 父親になって

 長崎県の上戸町病院は104床という小さな病院ですが、基幹型臨床研修病院であり、毎年研修医を受け入れています。私も同院で初期研修を行い、専門研修を選択する時期となりましたが、40年以上ある医師人生の中で、専門医取得を急いでいなかったこと、指導医の保護が外れた状態で、自分が提供したい医療が何なのかを見極めることを重視し、民医連でいうトランジショナル・イヤー研修を3、4年目の2年間行いました。現在は、外部の病院で新・家庭医療専門研修の2年目です。
 私事ですが、2020年に結婚3年目にして第1子の長男が誕生しました。出産が日曜日ということもあり、陣痛の開始から出産まで立ち会うことができて良かったとともに、妻から「あの時いなかったよね」と言われなくて済むことに少し安心しています。
 子どもというと話題になるのが、子どもはひとりっ子か2人以上か、という問題。19年度の出生数は86万5000人と統計開始から初めて90万人を割り、死亡数は138万1000人と過去最高を更新。出生数から死亡数を引いた自然増減数がマイナス51万6000人となり、今後日本の人口が急激に減っていくことは避けられないと想定されます。
 最近はDINKS(Double Income No Kids:共働きで子どもを意識的につくらない、持たない夫婦)やDEWKS(Double Employed With Kids:子どものいる共働きの夫婦)という概念も出てきて、夫婦の形、家族の形も変化していることから、個人的には子どもの数は何人でもいいのかな、と思っています。しかし、実際に出産に立ち会ってみて、母子ともにいのちがけだからこそ、産む立場でない人が安易に「次の子もほしいよね」とは言えない、と心から思いました。とはいえ、将来の子どもの数に関係なく、父親は十数年で子どもから相手にされなくなる可能性が高いため、相手をしてくれている今の日々を大切にしながら、子育てをがんばっていきたいと思います。(宮森龍誠、長崎・上戸町病院)

(民医連新聞 第1734号 2021年4月5日)

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