いつでも元気

2021年4月30日

来て来て四万十へ

文・新井健治(編集部)

 清流・四万十川で有名な高知県西部の四万十市。
 民医連の四万十診療所(高知医療生協)が存続をかけ動画を使って所長を探している。

動画を閲覧できるQRコード

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 四 万十診療所の現所長は、70歳になる今年8月で退任する。2012年に60歳で赴任、「10年の間に後継者を」との約束だったが、なかなか見つからないまま時が過ぎた。このまま医師不在になれば診療所を閉鎖せざるを得なくなる。
 高知医療生協には高知生協病院があるが、現在の医師体制では所長を派遣できない。医師募集の広告を打ったり、紹介会社に依頼もしたが見つからなかった。
 「文字だけの広告では効果がない」と感じていた診療所事務長の岡村多美さん。映像で職場の魅力を紹介する他病院のサイトを見て、動画の作成を思いついた。
 ただ医師を募集しているというだけでなく、組合員とともに地域医療を支えてくれる人を探していることを伝えようと、「あなたの力が必要です」「ここで一緒に暮らしませんか」とアピールすることにした。
 診療所のホームページにある動画は約3分。前半は四万十川をはじめ豊かな大自然や、かつおのたたきなど海の幸、山の幸を紹介。後半で吹き抜けのロビーがある診療所や組合員ルーム、医療生協の健康づくりの様子を載せ、最後に職員と組合員が「四万十に来てね~」と呼びかける。動画のQRコードを付けたチラシ2万枚を、医療生協の機関紙に折り込み反響を待っている。
 「診療所が閉鎖になれば、四万十川から西の市内に内科診療所は1つだけになり、住民の受療権が脅かされる。何とか新しい医師を見つけ、一緒に安心して暮らせるまちをつくりたい」と岡村さん。
 動画に登場する谷恵子さん(高知医療生協中村西支部理事)は「この地域は医療体制が弱く、私たちの診療所がなくなっては困る。リタイアした医師でも大歓迎なので来てほしい。年齢は問いません」と切実な思いを語る。
 宮本ルミさん(中村東支部理事)は「命の重みは都会でも田舎でも同じなのに、医療体制の格差が著しい。四万十はよいところ。命の“洗濯”をしに来ませんか」と呼びかけた。

いつでも元気 2021.5 No.354

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