いつでも元気

2021年4月30日

けんこう教室 
マスクの肌荒れ

沖縄協同病院 皮膚科 﨑枝 薫

沖縄協同病院
皮膚科
﨑枝 薫

 新型コロナの感染拡大により、外出時のマスクを手放せない生活が長く続いています。マスクによる肌荒れに悩んでいる方はいませんか。今回は肌荒れの予防や対策について、アドバイスします。

肌荒れの原因

 マスクによる肌荒れの原因としては、まず「摩擦」が挙げられます。特に頬や鼻、あごなどマスクに接する部分は、摩擦による肌荒れを起こしやすい箇所で、刺激を繰り返すことで赤くなってしまいます(イラスト参照)。
 日常でよく用いられる使い捨てマスクは、主にポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンなどの化学繊維を原料とした不織布からできています。
 繊維の特徴として、通気性はあるものの吸湿性に乏しいため、汗や呼気による水蒸気がマスク内にたまり、ムレてしまいます。ムレた状態が長時間続くと、皮膚に従来備わっているバリア機能が傷つき、皮膚の常在菌が増えてニキビや毛包炎を引き起こす原因にもなります。
 さらに「乾燥」も肌荒れの大きな原因です。「マスクでムレるって言ったのに、どうして乾燥するの?」と思われるかもしれません。それはマスクの外側と内側とで湿度の差が激しいために、マスクを外した時に一気に皮膚表面の水分が奪われてしまうからです。
 皮膚のバリア機能が傷つけられていると、皮膚の内側の水分も一緒に奪われてしまいます。さらに乾燥した皮膚を放っておくと、かゆみや赤みの原因にもなります。

予防するには

 マスクによる肌荒れを防ぐには、マスクを装着する前に保湿剤を用いてスキンケアをしっかり行うことが大切です。
 さらにムレを防いで清潔を保つため、口周りの汗や付着した汚れは、ゴシゴシこすらず軽く押さえるように、こまめにふき取りましょう。これから暑くなる季節を迎えますので、特に注意が必要です。ふき取った後は、可能なら保湿ケアを追加すると良いですね。
 また、ムレると常在菌が繁殖するので、洗顔時には鼻周辺や口周りの凹凸部分だけでなく、普段マスクが覆っているあごのラインもやさしくきれいに洗いましょう。
 マスクによる肌荒れでは、あごの周囲のトラブルが増えている印象を受けます。あごは洗い残しが多い箇所でもありますので、意識してみてください。

便利なアイテムも

 布マスクやウレタンマスクよりも、不織布マスクのほうが飛沫飛散の予防効果が高いと実証されています()。しかし不織布マスクの素材が肌に合わない方もいますし、敏感肌の方は摩擦による皮膚炎を繰り返すこともあります。
 こうした場合には、マスクの素材を変更したり、内側に薄い素材を挟むことで解決するかもしれません。綿やシルクの素材を試してみてください。
 マスクの大きさも大切です。小さすぎても大きすぎても、ずれると皮膚に与える摩擦が大きくなります。頬骨からあごまできれいに覆うようなサイズを選びましょう。
 また、マスクのゴム部分によって耳周囲で皮膚炎を起こしたり、常に圧力がかかることで傷(褥瘡)になるといったトラブルもあります。
 こうしたトラブルには、保湿とともに後頭部で結べるようなマスクに変更するのも一つの方法です。マスクバンドやイヤーパッドなど、安く買える便利なアイテムもあるので、自分に合ったものをうまく利用しましょう(イラスト参照)。
 また、外出先であっても人のいないところでは、適宜マスクを外して通気性を良くするように心がけましょう。これは熱中症を防ぐためにも重要です。


(拡大表示)

最後に

 コロナによって今までの生活様式が一変し1年以上が経過しましたが、まだまだ収束しそうにありません。マスク着用の日常生活には慣れてきたかもしれませんが、「常に着けていなければならない」「不織布マスクでなければならない」といった、「~でなければならない」というものではありません。窮屈な思考でストレスをためこまないように注意しましょう。
 大事なことは、必要な時に、必要な場面で、いかに適切な対策をとっているかです。ストレスも肌のトラブルの原因になります。気持ちに余裕をもって、肌の調子に気を配りながら一緒に乗り越えていきましょう。


保湿ケアの工夫 ~1年を通して~

 夏と冬、外気と室内、暖房器具の使用有無など、気温・湿度・環境が変化すると、皮膚にかかるストレスもそれに応じて変化します。
 1年を通して同じ保湿ケアをしていると、どうしても過不足が出てきます。乾燥する時期には、例えばローションをクリームタイプへ変更したり、重ね付けをするなど、ちょっとした心がけでより良い状態をキープできます。余裕があれば、こすれやすい箇所は保湿を強化するなど、部位による使い分けができるとなお良いですね。
 ただ、保湿によるセルフケアだけでは限界があります。もし肌荒れを起こした時には、我慢せずに早めに受診することも大切です。

いつでも元気 2021.5 No.354

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