いつでも元気
2021年6月30日
終活講座
エンディングノート(3)
終末期を考える
前号に続き、残しておきたい医療の情報について解説します。多くのエンディングノートは、終末期の医療方針について詳しく記述する項目がありません。そこで別途、「事前指示書」を作成しておくと安心です。
事前指示書は判断能力を失った時に備え、ご自身に行われる医療行為に関する意向を、前もって意思表示する文書です。医療機関や自治体で書類を入手できます。
延命治療の方針、自分らしい最期の時の過ごし方、生活環境や食べたい食事などを具体的に記述し、「医療代理人※」を指定します。エンディングノートに書いた趣味嗜好や延命治療、尊厳死などの内容に、医療代理人を加えたものが事前指示書というイメージです。
もうひとつ、終末期に備えておくものとして「人生会議」(アドバンス・ケア・プランニング=ACP)があります。
ACPは患者本人と家族が、医療従事者、介護提供者とともに今後の医療や介護について話し合い、患者の意思決定を支援する会議のことです。現在の病気だけでなく、意思決定能力が低下した場合に備え、本人が大切にしてきた価値観や生き方を理解してもらいます。
エンディングノートや事前指示書があれば、その情報に基づいて話し合います。また、ACPを参考にエンディングノートや事前指示書の内容を充実することもできます。
献体は事前登録が必要
献体は、医療の発展のために無条件・無報酬で遺体を提供することをいいます。希望する場合は、献体を受け入れている団体や大学などに連絡をし、事前の登録が必要です(親族の同意書も)。
本人が亡くなったら親族が献体先に連絡しますが、搬送前に葬儀を行うこともできます。なお、献体の1~2年後に遺骨が返されます。火葬に立ち会えるか否かは献体先次第です。
また、臓器提供に関しては、「心臓50歳以下」「肺70歳以下」など条件があり、臓器提供を望んでもかなわない場合があります。臓器提供の意思があるなら、別途、保険証などに書いておきましょう。
※医療代理人
自身に判断能力が無くなった際、自身の医療やケアについて代わりに判断する人。
委任を受ければ誰でもなれる
明石 久美(あかし・ひさみ)
明石シニアコンサルティング
明石行政書士事務所代表
相続・終活コンサルタント、行政書士
ファイナンシャルプランナー(CFP)
千葉県松戸市在住
著書に『死ぬ前にやっておきたい手続きのすべて』(水王舎)『配偶者が亡くなったときにやるべきこと』(PHP研究所)など
■相続・終活・老い支度相談所
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いつでも元気 2021.7 No.356
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