声明・見解

2021年7月29日

【声明2021.07.29】濃厚接触者アスリートに対する「特別ルール」を直ちに止め、選手と関係者の感染対策を徹底せよ

2021年7月29日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田剛

 7月15日内閣官房と五輪組織委員会は「新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者が、試合開始6時間以内のPCR検査が陰性であれば競技参加を認める」という、これまでの感染対策の定石に反した「特別ルール」をつくり実際に運用している。しかも、相手が対戦を拒否した場合は拒否した側が不戦敗になるという事が関係者の発言から明らかになって来ており、事実上、アスリートに対して感染リスクを承知した上での競技参加を強要する仕組みとなっている。
 一方、厚生労働省が同日更新した「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」においては「濃厚接触者は、感染している可能性があることから、感染した方と接触した後14日間は、健康状態に注意を払い(健康観察)、不要不急の外出は控え」ることを求めている。この決まり事は、国内での感染が確認されて以降、日本中で貫かれているもので、一度も変更されたことはない。
 今回の内閣官房と五輪組織委員会による「特別ルール」の策定は、これまで積み上げてきた感染対策の根幹を五輪開催のために恣意的に変更したものであり、到底看過できるものではない。
 そして、こうした対応は感染抑止のため様々な自粛を受け入れ、不自由な中でも自宅待機などを送っている濃厚接触者に対して、待機の必要性はないとの有害なメッセージとなり、感染抑止の上で最も大切にすべき、国民と保健所や医療機関のあいだの信頼関係を台無しにする愚行以外の何物でもない。
 今回、不適切な変更が行われた背景には、選手や関係者の間に感染者と濃厚接触者が続出し、開催地東京で日々感染者が拡大しているという事実から、大会続行のためには選手の感染防止は二の次、とせざるを得ないと主催者が判断したからに他ならない。断じて許されることではない。
 最も大切にされるべきは、選手、大会関係者の安全と感染の抑止にあることは言うまでもない。それが不可能な段階に来ている東京オリンピック・パラリンピックは中止するとともに、直ちに濃厚接触者への「特別ルール」を止め、選手と関係者のいのちを守る対策を講じることを強く求める。

以上

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