民医連新聞

2021年8月3日

第3回評議員会のポイント 岸本事務局長に聞く 総選挙を見据えいのち暮らし優先の日本へ

 全日本民医連は8月21~22日に開く第3回評議員会方針(案)を出しました。半年後に迫った第45回総会に向けて重点を明確にする同方針(案)のポイントは? 全日本民医連の岸本啓介事務局長に聞きました。(丸山いぶき記者)

 私たちは過去にない試練のなか連帯し、団結して奮闘してきました。互いの奮闘をたたえあい、さらに確信をもって実践し、展望を切り開きましょう。
 第45回総会までの残る半年間は、新型コロナウイルス感染症へのとりくみ(第1章)とともに、第3章で示した(1)いのちを優先し憲法を生かす社会をめざす運動、(2)健康格差にタックルし「医療・介護活動の2つの柱」の深化、受療権を守るたたかいと経営、(3)高い倫理観と変革の視点を養う職員育成、医師の確保と養成の前進、をすすめていきます。

■医療崩壊くり返すな

 第1章では、新型コロナウイルス感染症へのとりくみと今後の対策について、とりわけ今般の感染急拡大への危機感をのべました。
 政府が国民にあらゆる面で自粛を求める一方で、東京オリンピック・パラリンピックの開催を強行したことは、完全に矛盾したメッセージであり、感染拡大は必至です。全日本民医連は、「いまからでも中止の決断を」と求めます。
 第4波の大阪では、重症病床使用率が5月に108%、大阪府が当初確保した重症病床数の150%となり、医療が崩壊しました。その結果、重症患者が軽症・中等症対応の医療機関や施設に留め置かれ、保健所のフォローアップや救急搬送体制も破たん、死者が増加しました。二度とくり返してはなりません。
 全日本民医連はひきつづき、職員のいのちと健康を守る活動を第一義的課題とし、第5波を最小限の被害にとどめる運動として、ワクチン接種、検査の拡充、生業(なりわい)と生活が成り立つ補償、医療・介護事業所への財政支援・減収補てんに全力をあげます。

■政府の失政は明らか

 第2章では、第2回評議員会からの半年間の情勢の特徴をまとめました。
 菅政権は今なお、国がこれまで医療費を削減し、感染症病床や保健所の体制整備、人材育成を怠ってきたことへの反省・総括をしていません。骨太方針2021では的外れにも、国・自治体から医療機関への要請・指示権限強化などを掲げ、社会保障解体をさらにすすめようとしています。
 立憲主義・民主主義の破壊に加え、ジェンダー平等やLGBTをめぐる差別発言、デジタル監視法、土地利用規制法の採決強行など、基本的人権すら制限。戦争する国づくり、憲法改悪にも固執し、「憲法改正国民投票法」の改定を強行しました。自らのコロナ対応の失政を改憲論議にすり替え、緊急事態条項の創設もねらっています。

■第45回総会に向けて

 秋の総選挙は、政権交代も視野に入れた大きな節目になります。理事会は「いのちが最優先される社会への転換を」と総選挙の要求を決定しました。第3章では職員のみなさんに、主権者、医療・介護・福祉の従事者として、いのちの現場から選挙に参加することを呼びかけます。先の国会で強行採決された医療を壊す2つの法律、消費税を財源に病床削減を推進する法律と、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担を2割化する法律の実施中止、見直しを実現しましょう。
 コロナ禍の影響は多岐にわたります。人権や倫理にかかわる問題にも直面しています。日常に潜む人権侵害に気づけるかどうかが私たちに問われています。「人権Cafe」に全職員でとりくみ、共同組織とともに「いのちの相談所」や食糧支援など、困難を抱えるすべての人を対象に、とりくみを発展させましょう。
 経営はコロナ関連の補助金などを勝ち取り、一時的に改善したものの、依然、厳しい状況です。患者負担の軽減、診療報酬・介護報酬の大幅引き上げへ、たたかいを強めましょう。
 医師の確保と養成、働き方改革もかならず前進しなければならない課題です。この点ではぜひ、第3回評議員会で積極的な議論を期待します。

(民医連新聞 第1742号 2021年8月2日)

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