いつでも元気
2021年8月31日
終活講座
エンディングノート(5)
好みは変わらないもの
エンディングノートの項目の中でも、「趣味嗜好」に関しては、さして重要ではないと判断されがちです。しかし、趣味や嗜好を残しておくことは、ご自身にとってとても大切です。
もし、自分が認知症になったら、今と好みが変わると思いますか? 恐らく変わらないのではないでしょうか。
判断力が低下したり、意思表示がうまくできなくなったとしても、自分が好まない香りや音楽、室内の装飾といった環境で過ごすより、心地よく過ごせる環境のほうが良いと誰しも思うものです。
“自分取扱説明書”を作成
好きな〇〇、苦手・嫌いな〇〇、行ってみたい場所、思い出の場所、日課などはできるだけ書き留めておきましょう。夫婦や親子でも、本人の好みを全て把握しているとは限りません。
趣味嗜好で残しておきたいことを表にまとめました。表の項目にこだわらず、思いつくものを書き出します。“自分取扱説明書”を作成するつもりで、内容を充実させておくことをお勧めします。
ノートに書いてあるからといって、全てがかなうかどうかは分かりません。とはいえ、家族や病院・施設の職員ら本人と関わる人が好みを知らなければ、配慮のしようがありません。周囲の人が困らないように、準備をしておきましょう。
例えば本人の行きたい場所を書き留めておけば、医師の了解を得たうえで旅行ができます。好きなおまんじゅうと濃い目のお茶を用意したり、好きな花を飾るなど、好みに合わせた環境を提供することもできます。
特に香りと音楽は記憶に直結するため、本人にとって良い影響をもたらします。記憶がはっきりしているうちに、好きな音楽の「マイベスト版」を作っておくこともお勧めです。
苦手なもの、嫌いなものは精神状態に悪影響を与えがちです。香りのように文字や言葉では表現しにくい嗜好は、伝えるのが難しいもの。家族が一緒にいる時にその香りがしたら、「この香りが好き」と伝えておくことも大切です。
趣味嗜好で残しておきたいこと
・好き/苦手(嫌い)な〇〇…食べ物、味付け、飲み物
香り、言葉など
・好きな〇〇…花、色、本、曲、テレビ番組・映画、服
・よく行く場所、思い出の場所、行ってみたい場所
・こういう〇〇が好き/苦手(嫌い)…環境、人など
・何をしている時が幸せか、ストレス解消法、日課
譲れないもの・こだわり
・これからやってみたいこと
(実現できるかどうかはこだわらずに)
明石 久美(あかし・ひさみ)
明石シニアコンサルティング
明石行政書士事務所代表
相続・終活コンサルタント、行政書士
ファイナンシャルプランナー(CFP)
千葉県松戸市在住
著書に『死ぬ前にやっておきたい手続きのすべて』(水王舎)『配偶者が亡くなったときにやるべきこと』(PHP研究所)など
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いつでも元気 2021.9 No.358
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