声明・見解

2021年8月17日

【声明2021.08.14】「災害時級」の危機のもと、パラリンピック開催を即刻中止し、すべてのいのちを救う決意と行動を政府が行うことを求める

2021年8月14日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛

 8月2日都のモニタリング会議で感染症専門家は「災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態」と現状を表現した。現在日本は対策開始以来最悪の事態に直面している。
 全国の医療機関では、一般救急医療を維持しつつ、感染者の入院加療、押し寄せる発熱外来への対応やワクチン接種、PCR検査の拡充など、必死の奮闘が続いている。しかしながら、現状は悪化するばかりである。「一般もコロナも満床、一晩で40人近くを断らざるを得なかった」「地域の重症病床は空き無し、悪化しても転送は不可能」「次から次へと発生する入院対応で現場看護師のメンタルは限界」「状態悪化しても自宅留め置き、不安と恐怖、耐えられない」という悲痛な声が各地から上がっている。

 感染爆発の中で、救える命が救えない事態が生まれている。

 菅総理と政府閣僚の発言からは「制御不能」となっている感染者急増、医療ひっ迫・崩壊の切実な危機感は感じられず、その解決へ向かう有効なメッセージは一切発信されていない。現場と政府との間の悲しい程の意識の乖離を感じざるを得ない。

 国民の8割の反対を無視して強行されたオリンピック期間中(7月23日~8月8日)に、国内の1日の新規感染者数は3.4倍に増加し、閉会後も増え続けている。沿道での多数の応援、会場周辺の人出増などを見れば、「オリンピックをやっているのだから」を理由に人々の意識に抑制が効かない状況が生まれ、結果として自粛行動が緩んだことは多くの国民が感じているところであろう。デルタ株への置き換わりとも相まって、オリンピック開催自体が現在の危機に繋がった一因となったことはもはや疑いようが無い。
 また、「バブル方式」による感染対策は事実上破綻し、選手・関係者で500人以上の感染者が確認された。

 こうしたオリンピックの愚を繰り返してはならない。

 「制御不能」となっている東京都の感染状況は、オリンピック開催時よりもさらに悪化しており、パラリンピックを開催している場合ではない。

 更に、「原則入院」から「原則在宅」の方針転換により、何万もの感染者が自宅に留め置かれている。自宅療養者への支援事業は感染爆発により破綻しており、自宅待機者・療養者は重症化予防が期待される治療を受けることも出来ず、悪化への恐怖に苛まれている。

 私たちは、政府に対して新型コロナウイルス感染症対策分科会が示した「期間限定の緊急事態措置の更なる強化に関する提言」を可及的速やかに具体化し方針を国民に示すこととあわせて以下の点を求める。

(1)パラリンピック(8月24日開会~9月5日閉会予定)を中止し、災害レベルの非常事態に相応しく、政府が先頭に立ち、最大級の対策を講じること

(2) 在宅や宿泊施設での療養を余儀なくされている感染者に対し、公正に治療を受ける権利を保障すること。その為に、適切な診療基準の整備や体制確保を図ると同時に、重症化予防が期待される薬剤投与など、必要な治療が速やかに行えるような措置を緊急に講じること。

以上

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