民医連新聞

2021年9月21日

診察室から 健康とかLGBTQとか

 和歌山生協病院はHPH加盟病院です。働く職員の、患者の、地域の人びとの健康を増進するべく腰痛予防体操をしたり、疾病予防啓発ポスターをつくったり、検診を呼びかけたりしています。
 健康とは何か? 人により定義・認識に大きく幅があり、健康の阻害因子も人それぞれです。身体的な問題に目が行きがちですが、精神的、社会的、経済的な問題も複雑に絡んでいます。それぞれに対処・治療・改善方法が検討されなければなりません。社会的要素にもとりくもうとしているのが、民医連だと考えています。
 J―HPHで、LGBTQと呼ばれる性的マイノリティーと医療的な問題について学ぶ機会がありました。性別違和に関しては適合手術やホルモン療法など、医療が必要なことがあるのは知っていたのですが、性的マイノリティーの人が自殺を考えたことがある率が高いなどの問題があることを、初めて知りました。
 社会的に・他人に・家族に受け入れられないことで、自分を受け入れられない、自己肯定感が低くなる、死にたくなる。周囲の・自分の中の性別役割のすりこみ、性別のステレオタイプの押し付けが、そこから外れる人たちに優しくない社会をつくっている。近代の社会的に構築された男女の役割分担=「男は外で働いて、たたかって、女は子を産んで、家を守る」的な思想とシステムが社会的ストレスの源になっている人がいる。20年医者をやっていても考えが至らず、目からうろこでした。
 日本国憲法第14条は「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と書いてあるけれど、ジェンダー平等で世界情勢に遅れている日本。慣らされている自分たちの無知を恥じねばなりません。
 でも、「私たちは微力だが無力ではない」。これからも小さな声に耳を傾け、学習を重ね、少しずつでも社会的にも健康増進に寄与していけたらいいなと思います。(松岡ちあき、和歌山生協病院)

(民医連新聞 第1745号 2021年9月20日)

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