いつでも元気
2021年9月30日
終活講座
エンディングノート(6)
家族が混乱することも
エンディングノートに「家族葬にしてほしい」とか、「できる限り簡素に」などの要望を安易に残すと、家族が困ったり、嫌な思いをしたりする可能性があります。
一口に「家族葬」といっても、家族のみで行うのか、親戚も含むのか、ごく親しい友人は招くのかなど、各人によって解釈が異なります。また、最近は火葬のみを行う「直葬」を希望する人もいます。
エンディングノートを書くご本人が、「家族に費用や労力の負担をかけたくない」との配慮から要望する場合もあります。
しかし、その要望によって親戚や故人の友人からの心無い言葉で傷ついたり、後日の弔問客の来訪や頂いた香典の返礼の手配で時間が取られたり、かえって大変な思いをさせてしまうかもしれません。
予算に関しても同様です。「これくらいの金額で」と示しても、その金額が葬儀のみなのかお布施も含むのか、あいまいだと家族が混乱します。
エンディングノートに要望を残すなら、ご自身の要望に関して家族はどう思うのか、あらかじめ話し合っておきましょう。事前に喪主予定の人も一緒に葬儀社に行き、見積書を作成してもらうことをお勧めします。
こうした準備によって葬儀の概算費用のみならず、全体的な流れや疑問などが明確になります。そのうえ依頼する葬儀社の候補もできるため、いざという時に困りません。
訃報の連絡先を残す
何より葬儀の項目で残しておきたいのは、「葬儀で必要になる情報」です。依頼する葬儀社の候補があるならその連絡先、菩提寺などがあるなら連絡先や宗派を書いておきます。
家族が判断に迷う例として多いのが、葬儀に招く人の選択です。あらかじめ訃報の連絡先を書いておけば困りません。また、葬儀ですぐに必要になる遺影用の写真(アルバムなど)の保管場所も、分かるようにしておきましょう。
葬儀に関する要望をエンディングノートに書き残す際は、必要な情報と、家族の意向も確認して残す情報を区別しておくことをお勧めします。
明石 久美(あかし・ひさみ)
明石シニアコンサルティング
明石行政書士事務所代表
相続・終活コンサルタント、行政書士
ファイナンシャルプランナー(CFP)
千葉県松戸市在住
著書に『死ぬ前にやっておきたい手続きのすべて』(水王舎)『配偶者が亡くなったときにやるべきこと』(PHP研究所)など
■相続・終活・老い支度相談所
ご相談、セミナー依頼はこちら
https://www.gyosyo-office.jp/
いつでも元気 2021.10 No.359
この記事を見た人はこんな記事も見ています。