民医連新聞

2021年12月7日

地域をつなぐ・つながる コロナ禍から活動再開 in 福島・郡山医療生協

 コロナ禍で民医連や共同組織の活動が大きく制限され、2年が過ぎようとしています。各地では、つながりを取り戻そうと、コロナ禍からの活動再開に向けて模索が続いています。福島・郡山医療生協のとりくみを取材しました。(稲原真一記者)

 「コロナ禍でつながりをつくり、新しい運営委員を増やすにはどうしたらいいか」と、郡山医療生協桑野支部で議論になったのは、今年の5月ごろのこと。桑野支部があるのは、同医療生協の設立運動が行われた地域で、約600人の組合員がいます。しかし、支部の運営委員は昔からの組合員が中心で、新しいメンバーを見つけることが課題でした。そんな時にコロナ禍で、顔の見える関係づくりがさらに難しくなりました。

出会うことの大切さ

 そこで提案されたのが、毎月誕生日の組合員を訪問する「誕生月訪問」でした。健診案内の訪問活動は以前からやっていましたが、全組合員を対象にするのは初めてのこと。「毎月の訪問活動は続かないのでは、との意見もあった」とふり返るのは、長年桑野支部で活動をしている村上久枝さん。しかし、実際に訪問をしてみると、「コロナ禍で人と話せず、訪問してもらえてありがたい」「また来てほしい」など、歓迎の声が多数ありました。村上さんと30年来の付き合いという山上千恵子さんは、「求めている人がいるとわかって、みんなやる気になった」と言います。
 活動は今年の6月から始まって11月までに6回実施し、毎月50件程度を訪問。医療生協や病院の案内とともに、毎月手づくりのメッセージカードを手渡しています。訪問で亡くなっているとわかった人や、99歳でも自宅で元気に生活している人、組合員になって初めて会う人もいて、訪問の大切さを実感しました。疎遠になっていた昔からの組合員と、訪問を通じてあらためてつながったり、思わぬ人が組合員とわかったり、「地域のみんなが仲間なんだ」と実感する機会にもなっています。
 「この訪問を1年がんばって、来年はさらに活動を広げたい」と話すのは、石井うたさん。桑野支部の拠点にもなっている“たまり場”COSSE亀田の代表をしています。COSSE亀田でも、コロナ対策をしながら、農家の組合員がつくった野菜を格安で販売する朝市や、食事会などさまざまな活動を再開しています。

新人職員も地域訪問

 拡大強化月間中の11月4日には職員24人、組合員12人で合同の地域訪問も行い、262件を訪問、114件で対話しました。初めて訪問に参加した桑野協立病院の鈴木愛芳(あや)さん(理学療法士)は、「『コロナワクチンが打てなかった』『健診を受けたい』という地域の声を、同行した組合員さんがすぐに具体化していてすごいと思った。一人ひとりの組合員さんに出会うことで、医療生協が地域の人にささえられていると実感できた」と言います。今年桑野協立病院に入職した佐久間れいなさん(作業療法士)も初参加。「訪問地域は通勤路だったが、見知った場所でも初めて知ることばかり。地域の人と趣味の話をしたり、庭を見せてもらったりすることも楽しかった。“地域まるごと健康に”という、組合員活動を身近に感じられる機会になった」と、職員が共同組織の意義を学ぶ場になっています。「組合員さんとの訪問は楽しく、また機会があれば参加したい」と2人とも口をそろえます。
 郡山医療生協の組織部長の小抜勝洋さんは、「今後は小児科に通う、若い世代にも活動を広げていきたい」と語ります。他県を参考にLINE公式アカウントを開設したり、SDGsのとりくみを発信したりと、コロナ禍に負けず新しいことに挑戦しています。

(民医連新聞 第1750号 2021年12月6日・20日)

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